2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮の癌化の各段階におけるp53statusのDNA解析
Project/Area Number |
14771132
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小谷 勇 国立大学法人鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (10294315)
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Keywords | 口腔粘膜上皮 / 上皮異形成 / 癌化過程 / p53遺伝子変異 |
Research Abstract |
目的 正常口腔粘膜上皮-上皮異形成-扁平上皮癌の各段階におけるp53遺伝子変異の有無を調査することが研究目的である. 対象・方法 正常口腔粘膜上皮9例,上皮異形成36例,扁平上皮癌25例のホルマリン固定パラフィン標本から,p53遺伝子変異(exon5〜7)をダイレクトシーケンスを用いて検出した. 結果 p53Exon5-7の変異頻度は正常で0.5カ所/exon,上皮異形成で0.61カ所/exon,扁平上皮癌で0.62カ所/exonで各群間に有意差を認めなかった.しかしながら,上皮異形成・扁平上皮癌での変異部位はコドン180,220,221,248に集中し,正常組織での変異部位は前記4カ所に集中する傾向は認められなかった.すなわち,p53遺伝子変異の頻度は正常口腔粘膜上皮,上皮異形成,扁平上皮癌ともあまりかわらなかったが,変異部位は上皮異形成と扁平上皮癌は同じパターンで,正常口腔粘膜上皮とは明らかに異なっていた. 考察 今回,正常組織では特定のコドンに集中することなく散発的にp53遺伝子変異がみられ,一方,上皮異形成と扁平上皮癌では特定のコドンに変異が集中していた.このことから,ある頻度でp53遺伝子変異が散発的に生じ,そのうち特定部位の変異が生じた場合に組織学的に上皮異形成と変化する.さらに,p53遺伝子の異常が加わると扁平上皮癌となると考えられる.これは,大腸がんでいわれているtwo hit theoryが口腔扁平上皮癌でも当てはまることを示唆していると考えられる. まとめ 口腔粘膜上皮の癌化過程において,前癌病変の上皮異形成の段階で癌と同じ部位にp53変異がみられた.
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