2002 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮癌の顎骨浸潤に関連するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の解析
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14771148
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
入江 彰彦 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90304956)
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Keywords | マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP) / 扁平上皮癌 / 骨吸収 |
Research Abstract |
歯肉扁平上皮癌は早期に顎骨に浸潤し、骨を吸収する。癌による骨吸収は破骨細胞によって起こるといわれているが、癌の増殖と骨吸収・転移は骨リモデリングを超える速さで行われており、破骨細胞による骨吸収以外にも他の吸収因子が働いていると考えてもおかしくはない。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は細胞外基質の分解にかかわる主要なプロテアーゼで、癌細胞およびそれらを取りまく細胞が産生するMMPが癌の浸潤・転移に深く関与することが明らかにされている。私の昨年までの研究ではマウス扁平上皮癌顎骨浸潤癌モデルにおいてMMP(MMP2、MMP9、MT1-MMP)の免疫組織化学染色を行ったところMMP9の発現が増殖活性の高い癌細胞、骨浸潤部周囲にみられた。 今年度は免疫組織化学染色で発現のみられたMMP9が癌細胞由来のものか検索してみた。当研究室で樹立された扁平上皮癌培養細胞株(ヒト舌癌由来NT-1,NT-2およびヒト頬粘膜癌由来NB-1)を用いてウェスタンブロッティングを行った。その結果、MMP9は92kDaと88kDa相当部にバンドが検出された。これにより、MMP9は扁平上皮癌細胞より分泌されていることが確認された。MMP2についても同様に行ってみたが、発現は弱いものの癌細胞より分泌されていることが分かった。癌細胞から分泌されたMMPが骨を吸収するかは不明である。引き続き、癌細胞由来のMMP9の骨吸収の可能性について検討中である。
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