2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771150
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
尾崎 晴美 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10336894)
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Keywords | 滑膜骨軟骨腫症 / 顎関節症 / 免疫組織化学 / RT-PCR法 / fibroblast growth factor receptor-3 |
Research Abstract |
【目的】 顎関節滑膜骨軟骨腫症の関節腔内に多数の骨軟骨組織関節鼠が生ずる機序を解明するために、顎関節滑膜骨軟骨腫症と顎関節症の滑膜を免疫組織化学的、細胞生物学的に比較検討した。 【方法】 顎関節の滑膜骨軟骨腫症の患者で手術適応(顎関節円板切除術、顎関節鏡視下手術等)となった患者からの滑膜組織を採取したものを培養(1例)、また、採取した滑膜組織、関節円板の固定標本(7例)を作製した。 顎関節症の患者で手術適応(顎関節円板切除術、顎関節鏡視下手術等)となった患者から採取した滑膜組織を培養(2例)、また、滑膜組織、関節円板の固定標本(2例)を作製した。さらに解剖献体からの正常滑膜組織、関節円板の固標本(1例)を使用した。 固定標本にて滑膜骨軟骨腫症と顎関節症の摘出組織および正常滑膜・関節円板では存在しているタンパクがどのように違うかを薄切標本において特定の抗体を用い免疫組織化学的に検討した。 次に顎関節滑膜骨軟骨腫症(1例)及び顎関節症(2例)の滑膜組織の培養細胞よりRNAを抽出し特定のプライマーにてRT-PCRを施行した。 尚、和歌山県立医科大学倫理審査委員会にてヒトの滑膜軟骨腫症の遺伝子解析研究の承認を得ている。 【結果】 薄切標本において免疫組織化学的に検討した結果、Fibroblast Growth Facter Receptor-3(FGFR-3)の発現が滑膜骨軟骨腫症と顎関節症および正常滑膜・関節円板の滑膜では特に異なり、滑膜骨軟骨腫症の滑膜にて過剰に発現していることがわかった(滑膜骨軟骨腫症7例中、一次性滑膜骨軟骨腫症6例の滑膜組織についてはすべて陽性、2次性滑膜骨軟骨腫症1例と顎関節症の滑膜組織、関節円板および正常滑膜組織、関節円板はすべて陰性)。 RT-PCRの結果として滑膜骨軟骨腫症においてFGFR-3のmRNAの発現が特に亢進していることが確認された。他、発現が亢進していることが確認されたmRNAはcollagen type II、collagen type X、Indian hedgehog(IHH)、BMP-6、SOX-9、Wnt-14、CD44、Chondromodurin-1である。 現在、それら(特にFGFR-3)の発現が亢進している機序を解析中である。
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