2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるcox-2の発現とcox-2 inhibitorの抗腫瘍効果について
Project/Area Number |
14771164
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
青木 隆幸 東海大学, 医学部, 助手 (80297209)
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Keywords | Cyclooxygenase-2 / 口腔扁平上皮癌 / 多形性腺腫 / 転移 / 増殖 |
Research Abstract |
1.多形性腺腫におけるCOX-2の発現と増殖能に関する研究 pleomorphic adenoma(PA)の増殖、apoptosisにCOX-2が関与している可能性について注目し、臨床病理学的に検討を行った。対象は手術的に摘出されたPA 35症例でCOX-2、HGF、Bcl-2、MIB-1について免疫組織化学的検索を行い、発色強度により4段階に分類し、COX-2との相関について統計学的検定を行った。さらに、PAの上皮成分、間質成分におけるCOX-2発現の差を明らかにするため、Laser capture microdissectionを用いて細胞を取り出し、COX-2 mRNAを抽出し、Light Cycler System(Roche社)によるRT-PCRにて定量、解析を行った。PAにおいて、COX-2とHGFは主に腺腔裏層細胞に発現し、統計学的相関を認めた。Bcl-2の発現は、COX-2と統計学的相関を認めた。MIB-1の発現は、COX-2と統計学的相関を認めた。Apoptosis陽性細胞の存在は少なく、COX-2との相関を認めなかった。以上より、PAにおけるCOX-2とHGFの発現は関連性が示唆された。多形性腺腫におけるCOX-2とBcl-2の発現は統計学的に相関し、Apoptosisと相関しないことから、COX-2の発現がApoptosisに対する抵抗性を惹起するという点で腫瘍の発生、進展に関与している可能性が示唆された。本研究について、16th International Confeference on Oral & Maxillofacial Surgery, 14-20/5/2003, Athens, Greeceにて発表予定である。 2.口腔扁平上皮癌におけるCOX-2の発現と転移の関係について 口腔扁平上皮癌の転移にCOX-2が関与している可能性について臨床病理学的に検討を行った。対象は1994年から1997年までの4年間に、手術的に摘出されたT1、T2舌扁平上皮癌42症例で転移症例と後発転移症例を転移ありと分類した。COX-2、VEGF、E-Cadherinについて免疫組織化学的検索を行い発色強度で分類し転移の関係について検定を行った。その結果、腫瘍細胞にCOX-2、VEGFの発現を認め、局在も一致し統計学的相関を認めた。腫瘍におけるCOX-2発現がprostaglandinを産生し、VEGFを含めたAngiogenesis Factorの誘導に関与している可能性を示唆する結果であった。この結果を踏まえ、口腔扁平上皮癌の転移にCOX-2が関与している可能性について今後動物実験を行う予定である。
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