2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771170
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 亨 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30301914)
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Keywords | 顎関節症 / 酸化ストレス / MMP |
Research Abstract |
仮説1:酸化ストレスによって非酵素的に分解生成されたファイブロネクチンフラグメントがMMPを活性化する。 細胞外基質であるファイブロネクチン、コラーゲン、ラミニンをvivoで培養した滑膜細胞に作用させたところ、MMPの産生上昇がファイブロネクチン添加群にのみ観察された。 次に、さらに部位を特定するために過酸化水素水をファイブロネクチンに作用させ、生じたフラグメントおよび各種酵素的に切断されたファイブロネクチンをin vivoで培養した滑膜細胞に作用させた。その結果、フラグメント作用群のMMPの動体に変化は生じなかった。しかし、酵素処理によって切断したファイブロネクチンを同様に作用させたところ、120kDaのドメインを作用させた場合、MMPの動態に変化が現れた。ザイモグラフィーではMMP2および9の産生が上昇した。この産生は濃度依存的であった。 さらに、ファイブロネクチンの120kDドメインはインテグリンに結合することが報告されており、この結合がMMP産生を引き起こすかどうかを調べる目的で、抗インテグリンレセプターを作用させたところ、同様のMMP産生上昇を認めた 仮説2:酸化ストレスを受けたTIMPのMMP結合能力は低下する。 まず、MMPの特異的阻害タンパクであるTIMPをfitcによって蛍光標識した。その後、TIMPに過酸化水素水またはFenton反応による反応成生物(Hydroxyl Radical)を作用させ、MMPとの結合能力を分子偏光計によって調べた。その結果、酸化されたTIMPは30-40%程度MMPとの結合能力が通常より低下していた。 これらの結果については現在論文発表準備中である。 以上の結果より、関節内で発生した酸化ストレスは種々の経路を介して、MMP活性を相対的あるいは絶対的に上昇させることが考えられた。今後は生体内での酵素あるいは酸化ストレスの発現状況を含めたさらなる研究が必要であろう。
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