2003 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスマーカーとしての唾液中コルチゾルを指標とした新しい口臭症診断法の開発
Project/Area Number |
14771189
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
濱嵜 朋子 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (60316156)
|
Keywords | ストレスマーカー / 口臭 / 唾液中コルチゾル / 揮発性硫化物 |
Research Abstract |
口臭の原因の多くは口腔局所に由来し、その主要な原因物質は揮発性硫化物(VSC)である。VSCの発生が口腔内の病態とどのように関わっているのかは明らかでない。本研究の目的は、口臭症患者の唾液よりストレスマーカーで免疫能に関与しているホルモンのひとつであるコルチゾルの検出を行い、VSCおよび歯周組織状態の評価といった口臭関連因子との関係を明らかにすることである。初年度には、呼気中VSC濃度と唾液中コルチゾル濃度は有意に関連していることを明らかにした。 精神的ストレスは歯周病発症の要因のひとつと言われており,歯周健康状態の影響を強く受ける口腔内のVSCレベルは,間接的にストレスが影響している可能性がある.また,最近我々は,唾液分泌量の低下がVSCレベル増加のリスク因子になることを報告したが(Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod.2003,96,38-41),唾液分泌星の低下は,ストレスが原因で起きていることも考えられる。そこで,ストレスとVSCの関係について明らかにするため,我々は学生50名を対象者として,ストレス負荷試験を実施し,口腔内のVSCレベルならびに唾液分泌量に変化が認められるかどうか検証を行った.なお,唾液採取に際しては、本研究の目的を十分説明し同意を得た。またデータの公表はせず、プライバシーは守られることを確認した。今回はストレスと唾液分泌量ならびにVSCレベルとの直接的な関係を検証するため,歯周健康状態に関しては問題がない者を対象者とした.その結果,試験前後におけるVSC,唾液分泌量レベル共に有意な変化は認められず,ストレスがVSCの産生に影響をもたらすという明確な結論は本結果からは導き出せなかった.今後は個体のストレス状況を客観的に評価できる方法を確立した上で,口臭とストレスとの関係について,様々な関連要因も含め,長期的な視点で継続して評価していく予定である.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Takata, Y.et al.: "Relationship of physical fitness to chewing in an 80-year-old population."Oral Diseases. 10. 44-49 (2004)
-
[Publications] 今井顕, 濱嵜朋子 他: "韓国人の歯列弓および口蓋の形態に関する形質人類学的研究"口腔衛生会誌. 53. 574-584 (2003)
-
[Publications] Takata, Y.et al.: "Relationship between tooth loss and electrocardiographic abnormalities in octogenarians."J.Dent.Res.. 80(7). 1648-1652 (2001)
-
[Publications] Matsumura, K.et al.: "Association of body mass index with blood pressure in 80-Year-old Japanese subjects."J.Hypertension. 19. 2165-2169 (2001)
-
[Publications] 安細敏弘, 濱嵜朋子 他: "福岡県下80歳者の口腔内状況と運動機能の関連性について"口腔衛生会誌. 50. 783-789 (2000)
-
[Publications] 安細敏弘, 濱嵜朋子 他: "伝承から科学へII-口腔保健と全身状態の関係について-"口腔保健協会. 242 (2000)