2002 Fiscal Year Annual Research Report
実験的歯牙移動時の骨細胞のアポトーシスと周囲骨基質の変化に関する分子生物学的解明
Project/Area Number |
14771191
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
濱谷 明里 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (30337034)
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Keywords | 骨細胞 / 骨改造 / MMP-13 / 歯の移動 / アポトーシス |
Research Abstract |
実験的歯牙移動時にアポトーシスが生じる骨細胞周囲の骨基質の変化、さらに局所で直接的な影響を与えるサイトカインの関与を明らかにすることを目的とし、骨中の有機成分の分解に重要な役割を果たしていると考えられているMMP-13の局在および動態、そして骨改造への関与を解明するため実験を行った。実験結果としては、ラットの歯に荷重負荷後6時間までの圧迫側歯槽骨においては、ほとんど陽性反応は認められなかったが、12時間ではbone lining cellsや骨基質に陽性反応が認められはじめた。1日では、強い陽性反応がbone lining cells、骨基質の他、歯槽骨骨細胞にも認められ、2日では、それらの反応に加えてMMP反応陽性部位に隣接する破骨細胞の出現が認められた。4日目以降、非常に多くの破骨細胞による骨吸収像が観察された。以上の結果より、実験的歯牙移動時、主に骨吸収が生じる圧迫側歯槽骨に高いMMP-13の発現が認められ、それらのシグナルは破骨細胞の誘導と骨吸収に密接な関わりがあることが示唆された。現在、最終的には、破骨細胞によって吸収あるいは、自己融解によって消失すると考えられるMMP-13陽性の骨細胞と、骨細胞に生じるアポトーシスとの関連を検討するため、実験中である。MMP-13に関しては癌の転移において多くの研究がなされているが、歯周組織の骨吸収に関しては、ほとんど明らかになっていないことから、骨吸収部位への破骨細胞の誘導について、さらなる検討を行う予定である。また、細胞間のメカニカルストレスの感知に重要な役割を担っていると考えられているコネクシンが、骨細胞の細胞死とどのように関与しているのかも同時に明らかにしていく予定である。(現在は、予備実験を遂行中である。)
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