2002 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面パターンの成立要因に関わる骨関連遺伝子の一塩基多型解析(SNP)による検討
Project/Area Number |
14771192
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
吉田 育永 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40260822)
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Keywords | 顎顔面パターン / 骨関連遺伝子 / 一塩基多型 / SNP |
Research Abstract |
本研究は,上下顎骨の前後的位置の不調和により生ずる不正咬合のうち、遺伝的要因の多い下顎前突者の遺伝子多型の解析を試みることとした.研究対象は,北海道医療大学歯学部付属病院矯正科に来院し,全身的な疾患の既往が無く健常と判断された8〜15歳の日本人女子の中から,骨格性反対咬合症と診断された患者(class III群)とし,対照群として前後的に比較的調和のとれた上・下顎関係を有するもので,顎外力などの治療を行わない患者(class I群)とした.遺伝子解析資料は綿棒にて採得した頬粘膜の細胞とした.これまで吉田は同時期の成長期児童および学生を対象に、唾液中の成長関連因子と顎顔面骨格のパターンについて検討を行った.その結果,唾液中のIGF-I,プロゲステロン,エストロゲン,レプチンは測定感度以下であったが唾液中成長ホルモン(hGH)の測定は可能であった.次に唾液中hGHと年齢,骨年齢,身長,年間身長増加量,顎顔面骨格パターンの相関をみたところ,年間身長増加量と唾液中hGHの測定値の間に相関がみられ(y=0.22x+5.07;y=年間身長増加量,x=唾液中hGH),唾液中hGHは成長タイミングを知るうえで一指標になることが示唆された.その際骨代謝を表すIGF-Iの検出ができないことがわかった.GHの分泌は,内軟骨性骨化を示す下顎頭部の成長に関与すると言われている.Yamaguchi et al.は,ヒト成長ホルモン受容体(GHR)遺伝子に関して,GH→GHR→IGF-Iの連携が出世後の成長に重要でGHR遺伝子が均整のとれた骨格型の成長を維持する役割に働くと報告している.しかし下顎頭の成長発育は軟骨の骨化であり,直接骨代謝を測定した研究がより具体的な評価として重要であると考えられた.そのためIGF-Iに関して遺伝子解析を行うこととした.IGF-Iに加え骨関連遺伝子(PTH, TGF-β等)の解析におけるプライマーの設計を行った.しかし,遺伝子による解析は,患者様の不利益な情報を入手する危険性も高く,本学倫理委員会に上記の申請書を提出し審議中を行ったが,審議中である.
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