2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771193
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
松本 大輔 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (40305917)
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Keywords | エナメル質表層フッ素濃度 / 上顎乳中切歯 / 萌出後の成熟 |
Research Abstract |
未成熟な状態で口腔内に萌出するエナメル質は、萌出後唾液、プラークなどの影響を受け成熟していくことが知られている。この成熟によるエナメル質への変化を明らかにするためには、口腔内でのコントロールとしての測定とその後の変化をみるための測定の2回の測定が不可欠である。現在行っている測定法は微小であるが歯質を脱灰するため同一部位で2回の測定は不可能である。しかし、現在までこのような変化を明らかにするために用いられてきた小児に抜去歯を埋め込んだプレートを装着する方法や、矯正治療のために齲蝕感受性の高い上顎乳中切歯を便宜抜歯することは不可能である。そこで、測定部位の検討を行った。測定部位は(1)萌出前の歯質の状況が同じであること(2)萌出時期が同じであること(3)萌出後も萌出後の成熟に関与する各種の因子、すなわち唾液、食物の流れやそれによる微細なすりへり(いわゆるwear)、プラーク付着などが一様に作用する、という上記の条件を満たす必要がある。本講座の研究によると、同一個人の同一歯種歯面さらには同一形成時期と思われる部位においても上顎第一大臼歯、下顎第一大臼歯などのいくつかの歯種では部位により差があることが明らかになっている。そこで、上記の条件を満たすと思われる上顎乳中切歯唇面切縁側近心部および遠心部のフッ素濃度をWeatherellらのマイクロサンプリングテクニックを応用して第1層から4層まで脱灰して測定した。被験歯は5〜7歳児の交換期のために抜歯された肉眼的に齲蝕認められない右側上顎乳中切歯7本である。その結果、表層1〜30μmの全ての深さで統計学的有意差は認められなかった。このことから、上顎乳中切歯の唇面切縁側近心部及び遠心部は本研究を行うために必要な条件を満たしていることが明らかになった。
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