2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌が産生するプロテアーゼの血管内皮障害に関する研究
Project/Area Number |
14771196
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小林 美智代 北海道医療大学, 歯学部・口腔衛生学講座, 助手 (80316265)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 血管内皮細胞 / RANKL / OPG |
Research Abstract |
研究目的 我々はPorphyromonas gingivalis培養上清が血管内皮細胞において、インターロイキン8(IL8)およびmonocyte chemotactic protein-1(MCP-1)の産生および分解を誘導することを見つけだした。このことから、血管内皮からこれらサイトカインを誘導しているのは、同菌の産生するプロテアーゼではないかと考えたが、血管内皮細胞に添加する培養上清を加熱しても血管内皮細胞からのサイトカインの産生誘導に変化が認められなかったことから、血管内皮細胞からサイトカインを産生誘導しているのはプロテアーゼ以外のものである可能性が示された。次に、炎症局所において血管内皮細胞が骨吸収の調節因子であるreceptor activator of NF-κB(RANKL)およびオステオプロテゲリン(OPG)を直接発現することがわかってきているが、われわれは同菌が直接血管内皮を傷害することによって歯槽骨の吸収に関与してしているのではないかと考え、検討した。 対象および方法 ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)はEGM-2MV培地にて継代、維持し、実験に使用した。P. gingivalis 381を1.0×10^7/mlの濃度に調整し、4時間HMVECとインキュベートしたのち細胞中のtotalRNAを抽出し、使用した。 結果および考察 RT-PCRにてRANKLおよびOPGのmRNAの発現量の違いを検討した。P. gingivalis添加群と非添加群とを比較すると、RANKLでは明らかな違いは認められなかったが、OPGではP. gingivalis添加群の方がより高いmRNAの発現が認められた。このことは歯周病の炎症局所において血管内皮細胞が同細菌の骨破壊に関与している可能性を示唆している。さらに同菌の菌体、培養上清とくにプロテアーゼに着目し実験を検討中である。
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Research Products
(1 results)