2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラット背部皮下埋入モデルを用いた抜去歯歯根膜に対する各種成長因子の影響
Project/Area Number |
14771223
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
白石 千秋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30336177)
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Keywords | 成長因子 / 歯根膜組織 / 病理組織学的研究 |
Research Abstract |
近年、歯周組織再生療法における成長因子の臨床応用への試みがなされているが、その作用機序については不明な点が多い。そこで、本研究では、in vivoにおける各種成長因子の歯根膜細胞への影響を検討することを目的とした。 ラットの第3臼歯を抜歯し、歯冠と近心根を切断後、歯髄を除去した遠心根を実験に用いた。歯根はα-MEM{アスコルビン酸(50μg/ml)+βグリセロフォスフェート(5mM)+10%FCS含有}のみ、または同培地にrhbFGF(10ng/ml)、rhBMP-2(100ng/ml)、rhTGF-β1(3ng/ml)を添加した培地で48時間培養した。その後、歯根をラット背部皮下に移植し、7日および14日後に周囲の皮下結合組織とともに採取し、固定、脱灰後、AMeX法にてパラフィン包埋を行った。得られたパラフィンブロックから厚さ約4μmの連続切片を作製し、HE染色を行い、歯根および歯根膜組織の状態を病理組織学的に観察した。7日、14日群の全ての歯根で破歯細胞の出現と歯根吸収が観察され、その頻度は14日群で多かった。また、セメント質の表面にヘマトキシリンに濃染する部分が観察された。 次にrhbFGF(10ng/ml)、rhBMP-2(100ng/ml)を添加した培地で培養期間を96時間に延長(48時間で培地交換)した歯根を作製し、移植せずに固定、脱灰後、病理組織学的に観察したが、歯根膜細胞はほとんど死滅していた。そこで今後の実験には歯根膜細胞の生存を確認している48時間培養の歯根を用いることにした。α-MEMにrhBMP-2を1μg/mlおよび5μg/ml添加した培地で歯根を48時間培養後、ラット背部皮下に移植し、7日および14日後に周囲の皮下結合組織とともに採取し、前述の通りに連続切片を作製しHE染色を行い、歯根および歯根膜組織の状態を病理組織学的に観察した。7日、14日群の全ての歯根で破歯細胞の出現と歯根吸収が観察され、その頻度は14日群で多かったという結果は、以前に抜去歯根を未処置のまま背部皮下へ移植した実験結果と同じであるが、rhBMP-2添加培地で培養した歯根の周囲を取り囲む細胞の数は、未処置の歯根周囲の細胞よりも多かった。これらの細胞の種類に関しては、現在のところ明らかではない。また、新生セメント質などの明らかな硬組織の形成は認められなかった。
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