2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル錯体を利用した触媒的二酸化炭素固定化反応の開発
Project/Area Number |
14771235
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧本 真徳 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50312377)
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Keywords | ニッケル / 二酸化炭素 / 炭酸ガス固定 / 触媒 / ジエン / 有機亜鉛 / 環化反応 / 不斉合成 |
Research Abstract |
当該研究課題実施の初年度である平成14年度において、本研究代表者は、ニッケル触媒を利用した新たな二酸化炭素固定化反応の開発研究を行なった結果、以下のような研究成果が得られた。 1.ビスジエン化合物の環化を伴う、位置および立体選択的カルボキシル化反応の開発 分子両端に共役ジエン構造を有するビスジエン化合物を基質とし、触媒量のニッケル錯体存在下、1気圧の二酸化炭素、およびジエチル亜鉛と反応させると、0℃という非常に穏やかな条件下、ビスジエンの環化反応および二酸化炭素との間での炭素-炭素結合反応が位置および立体選択的に進行し、環状カルボン酸誘導体が高い収率で得られることを見いだした。また本反応においてジメチル亜鉛やジフェニル亜鉛を用いると、これら有機亜鉛試薬と基質との間でさらに炭素-炭素結合形成反応が進行することを見いだし、新たな触媒的二酸化炭素固定化反応の開発に成功した。また本反応を用いて種々のピロリジン誘導体を立体選択的に合成することができた。これまで常圧、室温以下という反応条件で進行する触媒的二酸化炭素固定化反応はほとんど報告されておらず、本反応ははきわめて興味深い研究例となると考えられる。 2.触媒的不斉二酸化炭素固定化反応の検討 上記二酸化炭素固定化反応を種々の不斉配位子の存在下に行ったところ、いくつかの不斉配位子との組み合わせにおいて目的とするカルボン酸誘導体が光学活性体として得られ、本反応が触媒的不斉反応へと展開可能であることを示唆する結果が得られた。この不斉二酸化炭素固定化反応については次年度以降さらに検討を進める予定である。
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Research Products
(1 results)