2002 Fiscal Year Annual Research Report
アンチモンに中心性キラリティーを有する新規二座型不斉配位子の合成とその応用
Project/Area Number |
14771256
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
安池 修之 北陸大学, 薬学部, 講師 (10230210)
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Keywords | アンチモン / 二座型不斉配位子 / 光学分割 / 不斉誘導反応 / 超原子価化合物 |
Research Abstract |
近年,研究代表者は光学活性な有機Sb化合物の合成と不斉配位子としての応用に取り組み,これまでにBINAPのSb類縁体となるBINASbの合成とその触媒配位子能について報告した.これに対してアンチモン上にキラリティーを持つ化合物は未だ光学活性体を得る方法が確立されていないために,不斉反応への応用例は全く知られていなかった.本課題ではアンチモン上に不斉中心を持つ新規光学活性体の一般合成法の開発と二座型不斉配位子としての応用を目的とし,平成14年度には以下のことを明らかとした.標的化合物にN-Sb系と成るオキサゾリン骨格を含むSb^*化合物を3系統選び,いずれもジエチニルスチバン類のSb上での求核置換反応を行い合成した.得られたラセミ体は光学活性なPd試薬との反応によるジアステレオマー誘導法を用いることでその光学分割を達成した.得られた化合物群のX線結晶構造解析を行ったところ,分子内のNとSb間に非結合性相互作用の存在することが判明した.一般にこの作用は重元素上での異性化を促進すると考えられている.また,Sb上のキラリティーの異性化に関する知見は数少なく,不斉反応に用いるにあたり,容易にラセミ化が進行しては好ましくない.そこで,トルエンおよびピリジン溶液中110℃,3日間の加熱を試みたが異性化は認められず,安定に存在する化合物であることを明らかとした.さらに得られた光学活性体を不斉配位子に用いてPd触媒下でのアセテート類の不斉アリル化反応を検討したところ,良好な化学および光学収率で炭素-炭素形成反応が進行することを見出した.現在,Sb化合物が二座あるいは単座型配位子として機能しているか否かを知る目的で,各種Sb-遷移金属錯体への誘導を試みMMRやESI-MSを用いた溶液中での挙動ならびにX線構造解析を用いて反応活性種の解明も計画している. 平成15年度は本年度の成果を応用ならびに活用して,P-Sb^*およびS-Sb^*系光学活性体の合成と不斉配位子能の評価を検討するとともにSb配位子特有の不斉配位子能の検索を試みる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Okajima, S.Yasuike, N.Kakusawa, A.Osada, K.Yamaguchi, H.Seki, J.Kurita: "Synthesis of Sb-chiral organoantimony compounds having intramolecular Sb---N interaction and their separation into optically pure compounds via ortho-palladated benzylamine complexes"J.Organomet.Chem.. 656. 234-242 (2002)
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[Publications] S.Yasuike, S.Okajima, J.Kurita: "Synthesis of optically active organoantimony compounds having an (S)-α-methylbenzyldimethylamine group and its evaluation for asymmetric reaction"Chem.Pharm.Bull.. 50. 1404-1406 (2002)