Research Abstract |
現地にて入手した南アジア地域の薬用食物あるいは有用植物(中国:約140種,インドネシア:約80種,フィリピン:約35種,タイ:約40種,インド,スリランカ:約120種,エジプト;約20種)の抽出エキスを調製し,癌転移に対し促進的に作用する過剰な活性酸素種や活性窒素種などの酸化ストレスの消去系亢進の指標として,マウス腹腔マクロファージからの一酸化窒素(NO)産生抑制活性およびラジカル消去活性を一次スクリーニングとして実施した.その結果,漢薬"花縮砂"(Hedychium coronarium,根茎),"益智"(Alpinia oxyphylla,果実)および"楊梅皮"(Myrica rubra,樹皮),日本民間生薬である"メグスリノキ"(Acer nikoence,樹皮)およびエジプト産天然薬物Cyperus longus(全草)の抽出エキスに活性が認められたことから,活性を指標に分離,精製し,有効成分を探索した. 花縮砂MeOH抽出エキスから,新規labdane型ジテルペンhedychilactoneA-Cを単離,構造決定するとともに,計12種の含有成分についてNO産生抑制活性を試験した結果,hedychilactone Aや主成分のcorpnarin Dなどのlabdane型ジテルペンに活性を見い出し,その作用点のひとつに誘導型NO合成酵素(iNOS)の誘導を抑制することを明らかにした.益智含水acetone抽出エキスから,3種の新規セスキテルペンoxyphyllolA-Cを単離,構造決定するとともに,計12種の含有成分についてNO産生抑制活性を試験した結果,oxyphyllol Aを含む計7種のセスキテルペンに活性が認められた.楊梅皮MeOH抽出エキスから,6種の新規biphenyl型ジアリルヘプタノイドおよび1種の新規トリテルペンを単離,構造決定するとともに,計21種の含有成分およびその誘導体についてNO産生抑制活性を試験した結果,主要成分であるmydcanolおよびmyricanoneなどのbiphenyl型ジアリルヘプタノイドに活性を見い出した.メグスリノキMeOH抽出エキスから,6種の新規biphenyl型ジアリルヘプタノイドおよび1種の新規トリテルペンを単離,構造決定するとともに,計21種の含有成分およびその誘導体についてNO産生抑制活性を試験した結果,主要成分であるmyricanolおよびmyricanoneなどのbiphenyl型ジアリルヘプタノイドに活性を見い出した.また,メグスリノキMeOH抽出エキスから,3種の環状型ジアリルヘプタノイドをはじめ計7種の新規化合物を単離,構造決定し,含有環状型ジアリルヘプタノイドに,NO産生抑制活性を見い出した.このほか,Cyperus longus MeOH抽出エキスから,ラジカル消去活性を有する新規スチルベンニ量体logusone Aおよびlongusol A-Cを単離,構造決定するなど,平成14年度の当初計画をほぼ達成した.
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