2002 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫由来S-アデノシルホモシステイン加水分解酵素の挿入配列の機能解明
Project/Area Number |
14771278
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中西 雅之 岐阜大学, 工学部, 助手 (00281048)
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Keywords | マラリア / 感染症 / S-アデノシルホモシステイン |
Research Abstract |
マラリアは,Plasmodium属の原虫によって惹き起される致死率の高い感染症である.最近では治療薬(クロロキン等)に耐性を獲得した原虫が急速に広がっており,新しい抗マラリア薬の開発が急務となっている.本研究は,抗マラリア薬の新しい標的としてS-アデノシルホモシステイン加水分解酵素に着目し,原虫酵素に特徴的な41アミノ酸残基からなる挿入配列の存在意義を明らかにすることを目的とする.この挿入配列はヒト酵素には存在しないため,原虫特異的な阻害剤を開発する上で鍵になると考えられる.申請者はこれまでに原虫酵素の発現・精製法を確立し,その性状を報告している(Nakanishi, M. et al. (2001) Purification and properties of recombinant Plasmodium falciparum S-adenosyl-L-homocysteins hydrolase, J.Biochem., 129, 101-105).また,組換え型のヒトおよび原虫酵素を用いて,両酵素が異なる阻害在感受性を示すことを明らかにしつつある. 平成14年度は,ヒトおよび原虫酵素の対応部位を互いに置換したキメラ酵素の発現プラスミド構築,酵素精製および反応速度パラメータ測定を実施した.本研究で作製したキメラ酵素はほとんどが適切な立体構造を形成できない不溶性のタンパクであったが,挿入配列を付加したヒト酵素のみは一部が可溶性酵素として得られたため,精製後,反応速度パラメータを決定できた.一方挿入配列を削除した原虫酵素は,発現条件ならびに変性剤を用いた可溶化を検討しているが,活性を示す酵素はいまだ得られていない.このことは,挿入配列が原虫酵素の立体構造形成および安定性に大きく寄与していることを示している.
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