2002 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性応答に伴うグリア―ニューロン相互作用の選択的ニューロン死誘発における役割
Project/Area Number |
14771279
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
香月 博志 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40240733)
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Keywords | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / ナルコレプシー / ミクログリア / 一酸化窒素 / グルタミン酸 |
Research Abstract |
中枢神経変性疾患において特定の表現型のニューロンが選択的に変性・脱落を起こす機序について、特にグリア細胞の活性化と液性因子の遊離などを伴う炎症性応答がニューロンの生死に及ぼす影響に着目し、培養脳組織切片を用いて以下の検討を行った。(1)グリア細胞の活性化を誘導するリポ多糖を培養中脳切片に処置するとドパミンニューロン死が惹起された。リポ多糖は誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現増大とNO産生増大も惹起し、iNOS阻害薬aminoguanidineやiNOS発現誘導を抑制するSB203580によってドパミンニューロン死は顕著に抑制された。一方で、炎症性サイトカインとして知られるtumor necrosis factor-αおよびinterleukin-1βに対する抗体を適用してもリポ多糖によって惹起されるドパミンニューロン死には影響が見られなかった。従って、リポ多糖によって活性化されたダリア細胞のドパミンニューロンに対する障害性効果は主にiNOS由来のNOを介するものであることが明らかとなった。さらに、リポ多糖処置によってMpp^+やrotenoneのドパミンニューロンに対する毒性が顕著に増大することを見出した。(2)中脳切片培養と同様の手法で視床下部切片内のオレキシンニューロンを培養維持できることを確認した。視床下部内の同領域に存在するメラニン凝集ホルモン(MCH)含有ニューロンと比較したところ、オレキシンニューロンはMCHニューロンに比べてNMDA神経毒性に対する感受性が顕著に高いことを見出した。逆にカイニン酸毒性に対する感受性はむしろオレキシンニューロンの方が低い傾向が見られた。また、内在性NMDA受容体アゴニストであり、炎症応答などに伴ってダリア細胞からの遊離が増大することが知られるキノリン酸を適用することによっても、オレキシンニューロンの選択的細胞死が惹起された。これらのことは、NMDA受容体刺激を介する興奮性神経毒性がナルコレプシー患者脳に見られる病理像を少なくとも一部再現できることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kume, T. et al.: "Isolation of a diterpenoid substance with potent neuroprotective activity from fetal calf serum"Proc.Natl.Acad.Sci. USA. 99(5). 3288-3293 (2002)
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[Publications] Wang, X.-D.et al.: "Vitamin B6 protects monkey retinal neurons from ischemic injury"Brain Res.. 940(1-2). 36-43 (2002)
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[Publications] Katayama, T. et al.: "Excitotoxic injury induces monocyte chemoattractant protein-1 production in rat cortico-striatal slice cultures"Neurosci.Lett.. 328(3). 277-280 (2002)
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[Publications] Manabe, S. et al.: "Quantification of axotomized ganglion cell death by explant culture of the rat retina"Neurosci.Lett.. 334(1). 33-36 (2002)
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[Publications] Shirakawa, H. et al.: "Regulation of N-methyl-D-aspartate cytotoxicity by neuroactive steroids in rat cortical neurons"Eur.J.Pharmacol.. 454(2-3). 165-175 (2002)
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[Publications] Kume, T. et al.: "Antagonism of NMDA receptors by σ receptor ligands attenuates chemical ischemia-induced death in vitro"Eur.J.Pharmacol.. 455(2-3). 91-100 (2002)