2003 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞上皮細胞に存在するガス分子膜輸送機構の分子機序に関する研究
Project/Area Number |
14771286
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
礒濱 洋一郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (10240920)
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Keywords | CO_2ガス / 細胞膜透過性 / 肺胞上皮細胞 / auqaporin |
Research Abstract |
O_2/CO_2ガス交換は,肺,特に肺胞-血管界面の最も重要な機能であることは云うまでもなく,ガス交換の場となる肺胞上皮I型細胞の機能とも密接に関係する.しかし,細胞膜のガス透過性は,従来,脂質二重層を介した単純拡散によると信じられており,詳細な検討は全く行われていなかった.本研究では,肺胞I型上皮細胞が他の細胞種に比べ著明に高い細胞膜CO_2ガス透過性をもつという基礎データをもとに研究に着手し,昨年度に,肺胆II型上皮細胞がI型細胞へと分化すると発現が著明に増加する水チャネルaquaporin-5(AQP5)が,水のみならずCO_2ガス透過性の細胞膜透過性を亢進することを明らかにした.また,このCO_2ガス透過性亢進作用は少なくともAQP-1〜-5に共通した機能であった.そこで本年度は,まず,AQPによるCO_2ガス透過性亢進に重要な分子構造を決定するために,AQP-1の種々の変異体を作成した.次に,これらの変異体のCO_2ガス透過性についてアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて調べた.炭酸脱水素酵素およびヘモグロビンなどのCO_2結合部位ならびに従来から知られるAQP-1のポア構造を基に約20種類のAQP-1変異体を作成した.このうちボア構造を形成するAsn76およびAsn192をSerに置換した変異体では,水およびCO_2の両方の透過性が著明に低下した.一方,Val79をAlaに置換した変異体は,水分子の透過性に影響することなくCO_2ガスの透過性のみが著明に低下した.これらの成績は,AQPによるCO_2ガスの輸送に水分子と共通の分子ポアが関与するもののCO_2ガス特異的な結合部位すなわちVal79により輪送効率が調節されていることを示唆しており,CO_2ガスの膜輸送機序を考えるうえで極めて重要な基礎データとなる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Lu Z, Kim KA, Suico MA, Uto A, Seki Y, Shuto T, Isohama Y, Miyata T, Kai H.: "ETS2 is involved in protein kinase C-activated expression of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in human non-small lung carcinoma cell line, A549."Biochem Biophys Res Commun.. 303. 190-195 (2003)
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[Publications] 礒濱洋一郎, Mohamed AM Morsy, 久恒昭哲, 宮田 健: "肺サーファクタント分泌におけるProstaglandin E2の役割"分子呼吸病. 7. 207-211 (2003)