2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14771289
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
足立 典隆 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (30264675)
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Keywords | DT40 / 非相同組換え / ジーンターゲティング / DNA ligase / 塩基除去修復 / トポイソラーゼ |
Research Abstract |
ニワトリBリンパ細胞株DT40を主材料に用いて,非相同組換えへの関与が示唆される遺伝子の破壊株(ホモ変異株)をジーンターゲティング法により作製し,解析を行った。 1.DNA ligase IV:ホモ変異株においてランダムインテグレーション頻度が著しく低下していること,またジーンターゲティング効率が上昇していることがわかった。これらの表現型はKu変異株や二重変異株においても全く同様であった。またターゲティング効率の低い遺伝子座において特に上昇率が高かった。したがって,非相同組換え(エンドジョイニング)がランダムインテグレーションの主要機構であり,この反応を抑制することでジーンターゲティングを効率良く行える可能性が示された。一方以上の結果をもとに,ヒト細胞への応用を試みた。 2.DNA ligase III:得られたヘテロ変異株を用いてホモ変異株の取得を試みた,必須遺伝子である可能性が高いため,テトラサイクリン制御系を利用した条件致死変異株の作製に着手した。 3.FEN-1:ホモ変異株においてランダムインテグレーション頻度が上昇していることがわかった。これはFEN-1欠損によりゲノムが不安定になるためと考えられる。またDNAポリメラーゼβとの二重変異株の解析から,脱塩基部位の修復に関わる新規経路が存在する可能性が示唆された。 4.DNAポリメラーゼβ:ホモ変異株においてランダムインテグレーション頻度が約半分に低下している可能性が示された。さらに詳細な解析を行う必要があるが,動物細胞のランダムインテグレーションに関わるDNAポリメラーゼはいまだ同定されていないため,非常に興味深い。 5.DNAトポイソメラーゼII:ヘテロ変異株において抗癌剤エトポシドに対する感受性が約半分に低下していることを明らかにした。一方,DNA ligase IV変異株やKu変異株において,エトポシドに対する感受性が著しく増大していることを見い出した。DNA ligase IV変異株においてトポイソメラーゼIIをヘテロにしてもやはりエトポシド感受性は約半分に低下した。これらの結果はトポイソメラーゼII損傷修復においてエンドジョイニングが必須の役割を果たすことを示している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Adachi, N.: "Hypersensitivity of nonhomologous DNA end-joining mutants to VP-16 and ICRF-193: Implications for the repair of topoisomerase II-mediated DNA damage."J.Biol.Chem.. 278(38). 35897-35902 (2003)
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[Publications] Akimitsu, N.: "Enforced cytokinesis without complete nuclear division in embryonic stem cells depleting the activity of DNA topoisomerase IIα."Genes Cells. 8(4). 393-402 (2003)