2002 Fiscal Year Annual Research Report
初代培養肝実質細胞の増殖に影響を及ぼすアドレナリン作動性調節機構に関する研究
Project/Area Number |
14771291
|
Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
木村 光利 城西大学, 薬学部, 助手 (00255027)
|
Keywords | Hepatocyte proliferation / Adrenoceptor agonist / MAP kinase / Primary culture / Western blotting analysis / Cross-talk / Growth factor |
Research Abstract |
肝再生現象の仕組みの一端を解明する目的で、初代培養肝実質細胞系において、アドレナリン作動性α_1、α_2およびβ_2受容体応答が、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)や肝細胞増殖因子(HGF)などの各成長因子のシグナル伝達機構のどの部分と相互作用をしているのかを、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)およびMAPキナーゼ(MAPK)の活性化を直接測定することにより検討した。 その結果、1)RTKおよびMAPK蛋白質の単離条件(細胞懸濁液、蛋白質分離条件など)、RTKやMAPKのリン酸化体に対するモノクローナル抗体を一次抗体、HRP標識抗ウサギIgGを二次抗体として用いた非RI標識法による、ウエスタンブロット解析の至適実験条件(標識用緩衝液および抗体の濃度など)を設定することができた。2)上記成長因子の単独刺激により、培養開始3分でピークとなる一過性のRTKのリン酸化活性の増加が発現した。しかし、それらは、α_1作動薬phenylephrine、α_2作動薬UK-14304およびβ_2作動薬metaproterenolの共存下での影響は受けなかった。一方、MAPKの活性については、上記成長因子の単独刺激により、培養開始3-5分後にピークとなる一過性のERK2 (42kDa MAPK)活性の増加が発現した。そのうち、EGFでは、ERK2活性はβ_2作動薬の共存下で増強され、α_2作動薬で減弱されたPDGFではα_2およびβ_2作動薬の影響は受けず、α_1作動薬でのみ増強された。さらにHGFにおいてはα_1およびβ_2作動薬の共存下で、ともに増強された。一方、α_1、α_2およびβ_2作動薬単独ではMAPK活性に影響を与えなかった。 これらの結果から、上記成長因子による増殖シグナルは、RTKの下流からMAPKの上流でそれぞれの成長因子に特有なアドレナリン作動性調節を受けていることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Mitsutoshi Kimura et al.: "Glyrrhizin and some analogues induce growth of primary cultured adult rat hepatocytes via epidermal growth factor receptors"The PHARMACOLOGIST. 44・2. A182 (2002)
-
[Publications] 木村光利, 荻原政彦: "初代培養肝実質細胞のMAPキナーゼ活性に対するアドレナリン作動性調節機構の検討"ファルマシア. 39・2. 127 (2003)