2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞が産生するグリコサミノグリカン糖鎖の微細構造解析とその代謝調節
Project/Area Number |
14771296
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
藤原 泰之 北陸大学, 薬学部, 講師 (40247482)
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Keywords | プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / 蛍光標識糖鎖電気泳動法 / 糖鎖構造 / 機能ドメイン / 細胞密度依存性 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は,蛍光標識糖鎖電気泳動法を用いて各種血管内皮細胞が産生するグリコサミノグリカン(GAGs)の微細構造とその合成調節を明らかにすることである。今年度はウシ大動脈由来血管内皮細胞および血管平滑筋細胞が産生するGAGsの微細構造を解析し,以下の知見を得た。 1 血管内皮細胞GAG微細構造の細胞密度依存性 高細胞密度の細胞層ではヒアルロナンおよびコンドロイチン/デルマタン硫酸(CS/DS)に比べヘパラン硫酸(HS)が豊富に存在しており,細胞密度の上昇に伴い細胞層のHSの割合が増加することが示された。内皮細胞が産生するHSの二糖組成は,低細胞密度の場合UA-GlcNAc>UA-GlcNS>UA2S-GlcNS>UA2S-GlcNS6Sであり,高細胞密ではUA-GlcNSの割合が一番高くUA-GlcNAc6SおよびUA-GlcNS6Sも検出された。一方,CS/DSの二糖組成はUA-GalNAc6S>UA-GalNAc4S>UA-GalNAcであったが,細胞密度依存的な変化は認められなかった。以上より,内皮細胞がその細胞密度に依存してHSの細胞層への蓄積とその微細構造を変化させることが示唆された。このような糖鎖構造の変化は内皮機能調節に影響を及ぼすものと推察される。 2 血管平滑筋細胞が産生するGAGsの微細構造解析 高細胞密度の血管平滑筋細胞を無血清培地中で培養した時の培地中に蓄積したHSの二糖組成はUA-GlcNAc>UA-GlcNS>UA2S-GlcNSであり,CS/DSの二糖組成はGlcA-GalNAc6S>GlcA-GalNAc4S>IdoA-GalNAc4S>UA-GalNAc>UA-GalNAc4S6Sであった。従って,血管平滑筋細胞が産生するHSおよびCS/DS糖鎖の微細構造は,二糖組成およびその存在比において内皮細胞とは異なるものであることが示唆された。
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