2003 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体分子シャペロン・カルレティキュリンの糖タンパク質認識メカニズムの解明
Project/Area Number |
14771312
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山口 芳樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (90323451)
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Keywords | カルレティキュリン / 分子シャペロン / NMR / 糖タンパク質 / 糖鎖 / ダイナミクス |
Research Abstract |
各種オリゴ糖鎖(Glcα(1-3)Man_9GlcNA_<C2>、Glcβ(1-3)Man_9GlcNA_<C2>、Man_9GlcNA_<C2>、Glcα(1-3)Manα(1-2)Manα(1-2)Man、Manα(1-2)Manα(1-2)Man、[1^<-13>C]Glcα(1-3)Man)を用いてカルレティキュリンとの相互作用のNMR解析を行うことにより、カルレティキュリンはGlc_1Man_9GlcNA_<C2>のなかでも特に非還元末端のGlcα(1-3)Manα(1-2)Manα(1-2)Man部分を認識していることを明らかとした。グルコース残基の結合様式が重要であることから、このグルコース近傍のコンフォーメーションをNMR法により詳細に解析することを試みた。そのため、安定同位体標識を施した糖鎖リガンド([1^<-13>C]Glcα(1-3)Man)とカルレティキュリンとをモル比で2:1で共存させ、糖鎖の結合・解離状態の化学交換を利用して転移核オーバーハウザー効果(TRNOE)を測定することにより、糖鎖リガンドのコンフォーメーションを解析した。スペクトル解析の結果、Glc H1、とMan H3、Glc H2間にTRNOEが観測されることが明らかとなった。Man H3、Glc H2由来のピーク強度の混合時間依存性から、プロトン間の距離を算出したところ、Man H3とGlc H2間の距離は約2.5Åあることが判明した。遊離状態における当該プロトン間の距離は、2.33〜2.50Åであることから、結合した状態にあっても糖鎖の立体配置は変化しないことが明らかとなった。さらに、カルレティキュリンに結合した状態のGlcα(1-3)Manのグリコシド結合の周りの二面角(φ、ψ)は-65°、+10°と見積もることができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山口芳樹, 加藤晃一: "安定同位体利用NMRによる糖鎖構造解析"蛋白質 核酸 酵素. 48・8. 1184-1189 (2003)
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[Publications] 高橋禮子, 栗本英治, 山口芳樹, 加藤晃一: "多次元HPLC法のグライコミクス解析への展開"蛋白質 核酸 酵素. 48・10. 1412-1418 (2003)
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[Publications] Tsunehiro Mizushima, et al.: "Structural basis of sugar-recognizing ubiquitin ligase"Nature Structural & Molecular Biology. (in press). (2004)