2002 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸鎖電子伝達系阻害作用に基づく新しい抗腫瘍性物質の創製
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14771314
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
内呂 拓実 東京理科大学, 薬学部・製薬学科, 講師 (00307711)
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Keywords | 呼吸鎖電子伝達系 / 抗腫瘍剤 / メトキシアクリレート / ストロビルリン |
Research Abstract |
本年度は9-Methoxystrobilurin K(1)の特徴的な化学構造の一つである1,5-ベンゾジオキセピン骨格と、そこから伸張する嵩高いエーテル側鎖部位を構造変換した各種誘導体の合成を行い、それらの各種生物活性について評価した。その結果、1,5-ベンゾジオキセピン骨格上の2つのメチル基を除去した新規誘導体にも、1とほぼ同等の腫瘍細胞増殖阻害活性および抗真菌活性が認められることが明らかになった。一方、1の末端エーテル側鎖部位の構造をプレニル基とした誘導体では、1を上回る強力な腫瘍細胞増殖阻害活性を示すことが明らかとなったが、各種病原性真菌に対する抗真菌活性に関しては、活性強度、活性スペクトルとも、1との大きな差違は認められなかった。これらのエーテル側鎖部位は、内在性のリガンドであるユビキノールのイソプレン側鎖に相当すると考えられるため、この部位をさらに鎖長の長いゲラニル基とした化合物を合成したところ、抗真菌活性は完全に消失したが、腫瘍細胞増殖阻害活性は上述のプレニル基をもつ誘導体とほぼ同等であった。これは、ヒト由来の細胞に対して選択的な増殖阻害作用を示すβ-メトキシアクリレート抗生物質を創出した初めての例になるものと考えられる。したがって次年度以降においては、化合物の化学的な安定性の向上を含めた構造活性相関のさらなる追求により、従来とは全く異なる作用機序をもつ新しい抗腫瘍剤の開発に繋げていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiromi Uchiro, Koh Nagasawa 他7名: "Remarkable influence of the aromatic substructure in 9-methoxystrobilurin derivatives on their antifungal activity"Bioorganic Medicinal Chemistry Letters. 12(19). 2699-2702 (2002)
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[Publications] Hiromi Uchiro, Koh Nagasawa 他4名: "The first synthesis and antifungal activity of 9-methoxystrobilurin-type β-substituted β-methoxyacrylate"Bioorganic Medicinal Chemistry Letters. 12(20). 2821-2824 (2002)
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[Publications] Daiju Hasegawa, Hiromi Uchiro 他1名: "Asymmetric Synthesis of novel β-substituted β-methoxyacrylates bearing a chiral 1,2-cis-disabstituted ・・・・・"Tetrahedron Letters. 43(40). 7185-7187 (2002)