2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝薬物代謝酵素レベルに影響を及ぼす核内受容体CAR遺伝子の発現制御機序の解明
Project/Area Number |
14771320
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉成 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60343399)
|
Keywords | 薬物代謝酵素 / チトクロームP450 / 酵素誘導 / 転写調節 / 核内受容体 / 肝 / 肥満 / 糖尿病 |
Research Abstract |
代表者らは、遺伝性肥満Zucker fattyラットにおいて、チトクロームP450(CYP)分子種、CYP2B遺伝子の転写調節因子である核内受容体CARの発現が著しく低く、このため酵素レベルが顕著に低下していることを報告している。本研究ではZucker fattyラット以外の肥満モデル動物を用いて肝臓における核内受容体とCYPの発現レベルを測定し、両者の関連性について解析した。高脂肪食負荷肥満モデルマウスを用いた結果から、肥満により肝CYP2B10およびCYP3A11 mRNAレベルは低下すること、特にCYP3A11の低下が著しいことが明らかとなった。一方、薬物応答性や核内受容体(CARおよびPXR)レベルには顕著な変動は認められず、今回作成した肥満モデルはZucker fattyラットの場合とは異なるCYP・核内受容体変動パターンを示した。しかしながら、CARやPXRを介さないCYP転写調節機構に変動が生じている可能性が示唆されたことから、既にCYP発現調節への関与が報告されている転写因子について解析した結果、他の核内受容体HNF-4レベルの肥満マウス群での低下が認められ、今後、更なる検討を行う予定である。さらに、遺伝性肥満db/dbマウスを用いて同様の解析を行い、このマウスでは対照マウスに比べてGYP2B10 mRNAレベルは高いが、CYP3A11 mRNAやCARおよびPXRレベル、CYPの薬物応答性は対照群と同程度であることが明らかとなった。以上の結果より、肥満の病因や程度により肝CYPや核内受容体の変動パターンは異なることが明らかとなった。本研究で用いた高脂肪食肥満モデルは遺伝性肥満モデルに比べてヒトの肥満に近いと考えられ、主要な薬物代謝酵素であるCYP3A発現レベルの低下機構を解明することは、臨床的に非常に重要であると思われる。
|