2003 Fiscal Year Annual Research Report
prion proteinの遺伝子発現を制御する因子の解析
Project/Area Number |
14771322
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡辺 雅紀 日本大学, 薬学部, 助手 (60287670)
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Keywords | プリオン病 / prion protein / 遺伝子発現 / glyceraldehyde-3-phospate dehydrogenase |
Research Abstract |
プリオン病は、プリオンタンパク質(prion protein ; PrP)の異常蓄積により引き起こされる致死性の神経変性疾患である。本研究では、種々のヒト臓器、ヒト由来培養細胞およびマウスを用いて、PrPの遺伝子発現量の解析を行い、その遺伝子発現制御や制御因子について検討した。 平成14年度においては、PrP mRNA発現量は、解糖系酵素であるglyceraldehyde-3-phospate dehydrogenase(GAPDH)により制御されている可能性が示唆され、また、GAPDHにはisoformが存在し、そのisoformの違いにより、PrP遺伝子の発現調節に対して正と負の相反する調節を行っている可能性が考えられた。本年度では、GAPDHがPrP遺伝子の発現に対して、どのように作用しているのか、またPrP遺伝子の発現を調節する他の因子の同定を行う目的で、PrP遺伝子のプロモーターの解析を行った。前年度に行った種々のヒト由来培養細胞におけるPrP遺伝子の発現量の比較検討より、最も発現量が多かった、glioblastomaであるA-172細胞と最も発現量が少なかったneuroblastomaであるIMR-32細胞を用いて、luciferase assayを行った。その結果、A-172細胞では、-4990bpのプロモーター領域を-2026bpまで欠失させると、プロモーター活性は低下した。IMR-32細胞では、-4990bpのプロモーター領域を-2026bpまで欠失させると、プロモーター活性は上昇した。このことから、PrP遺伝子上流-4990bpから-2026bpのプロモーター領域にPrP遺伝子の発現量を調節する因子の存在が示唆された。
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