2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるバイオエシックス確立のための条件―医学・医療の思想・制度の観点から
Project/Area Number |
14771327
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 智彦 東京医科歯科大学, 教養部, 助教授 (30288039)
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Keywords | バイオエシックス / 生命倫理 / 医療倫理 / 現代医学 / 医学の制度化 / 透明性 / アカウンタビリティ / 日米医療の比較思想史・制度史 |
Research Abstract |
本研究は、日本におけるバイオエシックス確立のための条件を現代医学の思想史および制度史の観点から明らかにしようとするものである。そのために本年度は、とくに現代医学の制度化の過程と、1960年代末のアメリカに始まるバイオエシックス成立の過程とに焦点を絞って研究を進めた。それは来年度の研究に、すなわち日本の医学とバイオエシックスのあり方を検証してゆく際に必須の参照枠組みを形づくる試みでもあった。 より具体的には、上の成果を英文ペーパー'The Welfare State and the Task of Bioethics'にまとめ、2002年9月16、17日にイタリアで開催された国際会議"Reconstructing the Welfare State : Health Care Reform in Italy, Japan, the UK and the USA"において発表した。このペーパーでは現代医学とバイオエシックスの成立を思想史的・制度史的に考察するとともに、それらと日本の医学およびバイオエシックスの歴史とを比較検討するための視座の提示を試みた。アメリカ、イギリス、イタリア、日本の研究者との討論を経て、現在このペーパーにもとづいた論文「バイオエシックスの光と影--日本における「生命倫理」の課題」(仮題)を執筆中である。なお当該論文は、2003年に出版される飯島昇藏・井戸正伸・眞柄秀子編『福祉国家の新世紀に向けて』(仮題)の一章を構成することになっている。 また2003年1月9日-17日には北米を訪れ、国立医学図書館、ジョージタウン大学ケネディ研究所バイオエシックス文献センター(以上、アメリカ)、マギール大学図書館、モントリオール総合病院附属図書館、トロント大学図書館(以上、カナダ)等にて資料の収集・調査を行った。これらの資料は来年度の研究における基礎資料として役立てられるはずである。
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