2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771360
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩本 幹子 北海道大学, 医療技術短期大学部, 講師 (50292040)
|
Keywords | 患者の権利 / 権利擁護 / 自己決定 / 看護師 / インフォームドコンセント |
Research Abstract |
1.擁護の概念定義 医学中央雑誌、CINAHLから1997年から2002年の文献を検索し、関連資料を収集、概念分析を行った。権利擁護の前提は患者の権利である自己決定・自律を尊重することにある。患者擁護とは、単に患者が自己決定するための情報収集を助け、患者と医療従事者間の調整役にはとどまらず、患者の権利の侵害がどのように生じているかを明らかにするとともに、患者が問題の解決にむけて自己決定を促し、その実行を支持することを意味する。 2.欧米と日本間の患者の権利に関する比較検討 文献検討や倫理国際会議の出席、アメリカ人倫理研究者との共同研究を通して、欧米と日本間の患者の権利と擁護の概念の差異について検討した。患者の権利に関する歴史的な背景や宗教観の違いが存在し、日本人の持つ患者の権利の認識に影響を持つ。欧米では、強烈な個人主義に基づき、患者の権利が主張されてきた。日本では国民皆保険制度がとられ、事を荒立てない、議論や批判を好まないという国民性も関与していた。アメリカではすでに看護師が患者として活動をしているが、看護師が擁護者となりうるかということについては、いまだ論争されている。患者擁護を看護師が担うためには、日本における看護師の倫理的問題に対する認識を明らかにしたうえで、看護師の患者の権利擁護者としての役割を検討する必要性が生じ、看護師314名を対象に、S・フライによる「看護実践における倫理と人権問題」のアンケート調査を実施した。この結果、「必要な看護師数を充足されていない」「患者に対する抑制」「看護師-医師間の対立」「インフォームドコンセント」という倫理的問題に困難を感じているという結果を得た。この結果から、看護師が擁護者としての倫理的問題を認識していることが明らかになった。次年度は上記の調査(1)(2)の結果と合わせ、患者を対象とした「患者の権利」の認識と「看護師の役割」について継続調査を行う予定である
|