2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の転倒発生における視知覚と姿勢制御-生活環境からの検討
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14771367
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
江藤 真紀 名古屋大学, 医学部, 助手 (30295167)
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Keywords | 転倒 / 地域高齢者 / 視知覚 / 重心動揺 |
Research Abstract |
本年度は、重心動揺計のグレードアップをはかり、データ収集を行った。視覚刺激を与えない状態と視覚刺激を与えた状態である静止画像と動画像(日常生活上で体験しうる歩行速度:4km/h、自動車走行速度:60km/h)で、身体動揺を測定した。画像はオリンパス製のフェイスマウント・ディスプレイFMD-150Wに4mの道幅と左右に2mの高さの壁を映し出し、被験者が道路を前進するよう視認できるようにした。さらに視覚に関連して常用視力と動体視力についても測定を行った。また、それにともない日常生活上で転倒に関連すると思われる質問紙を作成し、聞き取り調査を実施した。測定に用いた重心動揺計はANIMA製のグラビコーダG-620、視力・動体視力計はNIDEK製の動体視力計KV-100である。 コントロール群とした若年者では、15名(20.4±0.8歳)であり、男性6名、女性9名であった。静止画像から動画像、動画像から静止画像に視覚刺激を変化させていった。測定項目は総軌跡長、矩形面積、外周面積、X方向動揺平均中心変位、Y方向動揺平均中心変位の5つとした。5項目とも静止画像から動画像への速度間での有意差は認められなかった。また、男女間での有意差も認められなかった。さらに動体視力と視覚刺激との間にも有意性は認められなかった。同様に実験群とした高齢者64名(70.3±4.4歳)、男性30名、女性34名でも測定を行った。測定項目などもコントロール群と同じであった結果、5項目とも静止画像から動画像への速度間での有意差は認められなかった。また、男女間での有意差も認められなかった。さらに動体視力と視覚刺激との間にも有意性は認められなかった。これは視覚刺激とした画像のリアリティさと速度の負荷が弱かった可能性と、いずれの被験者も視覚刺激による動揺がないほどの健康度を保つことができていると考えられる。来年度はこれらを念頭におき、さらに計測を続け、分析を深めたい。
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