2002 Fiscal Year Annual Research Report
易感染状態患者へ安全で満足な食を提供するために―新鮮な果実の喫食方法の検討―
Project/Area Number |
14771371
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤井 宝恵 広島大学, 医学部, 助手 (50325164)
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Keywords | 感染 / 果物 / 細菌 / 手洗い / 看護 |
Research Abstract |
【はじめに】現在の日本の医療現場では、易感染状態患者の果物摂取について、施設により対応が異なっている。感染の危険性を考慮したとはいえ、多くの場合患者にとって満足であることはない。そのため臨床現場及び家庭においても患者が新鮮な果物を安全に摂取できるように、果物の取り扱いや手指の消毒方法等について検討した。 【材料および方法】試料はリンゴとメロンを用い、被験対象者は5名とした。調査は、1.果肉への付着菌数の検討、2.手洗い方法の検討(A法:30秒石鹸洗い、B法:A+乾燥、C法:10秒石鹸洗い+消毒用アルコール噴霧+乾燥)、3.フィルム培地を用いた現場での簡易検査の検討、とした。衛生指標菌は、一般生菌数・大腸菌群・黄色ブドウ球菌・カビ/酵母とし、検査手順は食品衛生検査指針に従い実施した。 【結果・考察】1.リンゴの皮には平均400/g、メロンの皮には1267/gの細菌が付着していた。リンゴ・メロン各々の果肉から10/gの細菌を検出したものが1件あったが、それ以外の果肉の細菌は0/gであった。洗浄により表皮の菌数は明らかに減少し(りんご:洗浄前143/g洗浄後12/g、メロン:洗浄前1267/g洗浄後348/g)、皮むき後の菌数の急激な増加はなかった。2.手洗い後の乾燥の有無で果肉への平均付着菌数を比較すると、乾燥あり60/g、乾燥なし430/gであった。よって、濡れた手で果物の皮むきを行うと、手指の細菌が果肉へ移行しやすくなることが示唆された。手洗い方法の違いによる顕著な有意差はなく、10秒石鹸洗いでもアルコール噴霧を行うことによって30秒石鹸洗いと同程度の効果が得られることが判明した。ただし、被験者間には個人差と測定日による菌数の差もみられた。3.フィルム培地は簡易に扱え、臨床現場において患者や家族の手指の事前検査が行えるため、患者や家族への果物の喫食の指導に活用できると思われた。
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