2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植後のレシピエントとその家族のQOLに関する研究
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14771379
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
習田 明裕 東京都立保健科学大学, 保健科学部・看護学科, 助手 (60315760)
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Keywords | 臓器移植 / 生体肝移植 / レシピエント / 家族 / ドナー / QOL / 看護職 / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
今年度は、下記2つの目的のもと研究を行った。 【目的1】QOLに関する国内・外の文献から信頼性・妥当性が検証された包括的なQOL指標を選択する: <国内文献>「医学中央雑誌Web版advance mode」(1995年〜2002年)を用いて「臓器移植」、「看護」及び「QOL」をキーワードとして検索を行った。結果、脳死移植を受けたレシピエントに対する研究は殆どみられず、脳死に対する医療従事者(学生)の意識調査が多かった。生体移植は腎・肝臓ともレシピエントを対象としたものがみられたが、その多くが事例報告であった。QOLについては生体腎移植についてレシピエントのQOLを量的に検討した研究が数件みられ、QOL因果モデルの検討やSF-36を用いたQOL評価を行っていた。なお生体肝移植については、レシピエントを対象としたものは散見される程度であった。 <国外文献>「MEDLINE」(1999年〜2002年)を用い"transplant""nursing""QOL"等にて検索を行った。その結果、脳死移植を受けたレシピエントに関する研究は多かったものの生体移植に関する研究報告は少なかった。ただしレシピエントやその家族を対象としたQOLに関する研究報告もあり、本研究でQOLを検討していく上で多くの示唆が得られた。 【目的2】生体肝移植を受けたレシピエント及びその家族を対象として面接調査を行い、QOLに関してどのような要因が関与しているか考察する: 生体肝移植を行っている大学病院において、生体肝移植を受けたレシピエントとその家族(ドナー)に半構成式面接調査を行った。面接内容は主なものとして、(1)移植前後の身体症状(肝機能状態、随伴症状など)(2)家族(ドナー)との関係性、(3)移植決断までの過程(情報提供、キーパーソン、決断までの悩みなど)(4)移植後の生活状態(拒絶反応、免疫抑制剤のコンプライアンス、感染症の罹患、体力など)である。面接調査の結果から、肝移植後のQOL評価に関しては、基本的に健康関連QOL : SF-36をベースとし、さらにレシピエントの特性やそれに影響を及ぼす要因から多面的に検討していく必要性が示唆された。
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