2002 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の生活を豊かにする市町村における地域ケア体制づくりに関する研究
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14771394
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Research Institution | Gunma Prefectual College of Health Science |
Principal Investigator |
春山 早苗 群馬県立医療短期大学, 専攻科, 助教授 (00269325)
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Keywords | 精神障害者 / 生活の質 / 市町村保健師 / 地域ケア体制 / 地域ケア体制づくり / 地域資源 / 地区活動 / 評価 |
Research Abstract |
市町村において貢献できる精神障害者(以下障害者とする)の生活の豊かさの側面と、市町村保健師が問題解決を図ってきた障害者を支える地域ケア体制の課題と活動方法を明らかにするために、先駆的活動に取り組んできた5市町村の、特に障害者11名へのホームヘルプサービス等の地域資源利用に関わる市町村保健師活動について面接調査を行い、保健師の働きかけた対象、意図、活動に関わる判断と活動方法を調べた。また、前述した市町村の保健師5名に、各市町村の地域ケア体制について【支援の弾力性】【関係職種・機関の主体性や責任性】【支援の総合性】【制度やサービスの利便性】【相互扶助やノーマライゼーション等の価値観の醸成】【精神障害者・住民の参加とエンパワーメント】の側面から評価してもらった。この側面は、筆者の先行研究、並びに、ヘルスプロモーションの視点から地域看護を実践しているカナダBC州の地域看護職、看護教育研究者5名に、地域ケア体制づくりに関わる活動方法についての面接を行い検討した。その結果、市町村において貢献できる障害者の生活の豊かさの側面には「基本的な生活力」「生活の営みの支え」「帰属感や人とのつながり」「自己実現」「精神疾患とともに生きること」「本人・家族の健康」があった。市町村地域ケア体制の課題には(1)ヘルパー等支援提供者による個々に合わせた弾力的な支援提供を可能にすること(2)首長や市町村上層部の理解獲得と、まちづくり計画等における位置づけの明確化(3)地域資源の不足(4)地域住民の障害者に対する不理解や偏見、があった。活動方法には、市町村地区活動で整えてきた資源を基盤に利用可能な資源を拡大する、障害者の病状を考慮し資源利用の適切性について支援提供者と話し合う、会議や同行訪問等により障害者の状況や必要とする支援を首長や市町村上層部、支援提供者に伝え対象理解を促す、精神症状の対応等支援提供者の困っていることを捉え相談にのる、障害者と住民の接点をつくる等して住民に働きかけ障害者の理解を促す等があった。
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