2004 Fiscal Year Annual Research Report
がん化学療法患者に対する歯磨き指導による口腔合併症予防効果の検討
Project/Area Number |
14771399
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
狩野 太郎 群馬大学, 医学部, 助手 (30312896)
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Keywords | がん化学療法 / 口内炎 / 歯磨き / 口腔ケア / 感染予防 / オーラル・アセスメント・ガイド |
Research Abstract |
目的:本研究は、口腔清浄度と口内炎など口腔合併症の関連を検討し、呼吸器合併症との関連も明らかにすることを目的に実施した。 方法:研究同意が得られたCHOP療法悪性リンパ腫患者を対象に、バス・スクラブ法による歯磨き指導を行い、任意1クールについて治療前、4、8、12日目の口腔清浄度と唾液量、口腔合併症、呼吸器合併症との関連を検討した。口腔清浄度は化学療法中の口腔アセスメントツールとして欧米で使用されているオーラル・アセスメント・ガイド(OAG)を使用し、唾液量は幅10mmの短冊状濾紙を舌下に30秒留置して無負荷の混合唾液を吸収させ、ミリメートル単位でで評価した。 結果:10名(男7、女3、平均49.8歳)のうち、2名は観察期間中の発熱・下痢の影響で研究参加を中断した。OAGの平均は治療前9.4点、4日10.0、8日10.5、12日9.8と経過し、4-8日目に悪化する傾向が見られたが有意な変化ではなかった。唾液量は、治療前11.0mm、4日3.3、8日9.5、12日11.8と経過し、4日目に減少した。WHO Grade1以上の口内炎がみられた者はいなかった。観察期間中1名に感染源不明の38℃以上の発熱がみられたが、口腔衛生状態は他の者と差異はなく好中球減少に伴う発熱と思われた。 考察:化学療法中の口腔衛生状態は治療4-8日目頃に悪化する傾向が見られるが、この時期は唾液分泌の減少、倦怠感による歯磨きの不足が影響していると考えられた。一般にこの時期は口内炎出現頻度も高く、好中球減少のピークにも重なり感染予防が特に重要な時期でもある。本研究により、化学療法開始後4-8日目頃の歯磨き指導の追加と口腔湿潤促進のためのケアの重要性が再確認できた。
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