2002 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆高齢者のせん妄の発症過程に関する研究―介護老人保健施設と療養型病床群の比較―
Project/Area Number |
14771419
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 真澄 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (80315522)
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Keywords | 高齢者 / 介護老人保健施設 / 環境への適応 / 睡眠 |
Research Abstract |
高齢者は環境変化に対する適応が難しく、入院や施設入所に伴う環境変化や様々なストレスによって睡眠障害をきたしたり、せん妄に陥ることがあることが知られている。高齢者の睡眠は、加齢に伴う生理的変化から睡眠障害を訴える人も少なくない。また、せん妄の発症要因および症状としても関連のある睡眠障害の状況を看護者が的確にとらえることができれば、せん妄の早期発見や予防的介入につながると考える。 そこで本研究の目的は、介護老人保健施設に入所する高齢者が、入所によって24時間の睡眠・覚醒周期にどのような影響を受けているのかを客観的にとらえ、看護者による観察と比較検討することにある。 S市内の介護老人保健施設に入所した高齢者を対象に、入所から4〜5日間アクチグラフによる睡眠・覚醒周期の状況を把握した。また、看護者に対象高齢者の睡眠・覚醒周期、日常生活状況について記録してもらった。対象への研究協力の説明は、施設の入所受け入れ担当者であるソーシャル・ワーカーから本人および家族に説明をしてもらい、了承の得られた場合に同意書を交わした。研究者は入所当日または翌日に対象者を訪ね、研究協力の意思確認を再度行った。研究者は対象者から入所前の睡眠や日常生活状況について聞き取り、施設の記録からも情報を収集した。 本報告時点で、まだデータ収集を行なっているところであるが、分析中のケースについて紹介する。2年前から月1回の短期入所を繰り返している71歳の女性は、入所当日に比べ、入所2日目、3日目と日を追う毎に、睡眠期の体動が少なくなる傾向が認められ、施設で徐々に夜間の良眠が得られようになったことを示していると考えられる。一方、看護者は入所当日もその後も夜間の睡眠状況は変化していないと見なしていた。
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