2003 Fiscal Year Annual Research Report
歩行パターンの変動を計測する手段としての視覚的評価利用の可能性
Project/Area Number |
14771423
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
滝澤 恵美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (70325976)
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Keywords | 視覚的評価 / 転倒 / 歩行パターン / 変動 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者の転倒を予測する新たな評価変数として報告されつつある歩行パターンの変動の大きさを視覚的評価によって判定することが可能であるかを検討することである。本年度は、昨年度に体力測定・転倒調査を行った在住高齢者のその後1年間の追跡調査および、新たな地域で高齢者の体力測定・転倒調査、国際学会発表を行った。 1.転倒追跡調査 昨年度、体力測定と転倒経験・転倒不安に関するアンケート調査を実施した高齢者64名のうち、46名を対象に本年度1年間の転倒調査をアンケート葉書を郵送し実施した。アンケート回収率は80%であった。結果、本年度2回以上転倒したと報告した者は2名、転倒理由は「つまづいた」であった。この2名について、昨年度の体力測定で計測した歩行変数の特徴を調べた。その結果、本研究の高齢者母集団における歩幅の変動係数(以下、CV)の平均値が3.2±1.4%、重複歩距離のCVが2.3±1.2%であったのに対して、本年度転倒回数が2回以上であった2名は、歩幅CVと重複歩CVが共に5%以上の明らかな高値を示していた。特に、転倒2回以上の者の重複歩距離CVは、母集団における同変数の2SD以上の高値であった。なお、この2名以外に5%以上のCV値を示した者は存在しなかった。 2.新規地域での高齢者の体力測定・転倒調査 昨年度とは異なる地域において高齢者53名の調査を行った。今回は、歩行時の様子を前額面と矢状面からビデオ撮影した。来年度はこの地域での高齢者の追跡調査を加え、さらにビデオデータを医療関係者に見てもらい「歩行中のふらつき」程度について視覚的に評価する。転倒追跡調査の結果より、歩幅CVと重複歩距離CVの値が5%以上を示すのは、統計学的な意味のみならず、転倒を引き起こす程の歩行パターン生成の異常値であると考えられるので、この値を示すものを視覚的にピックアップできるかが焦点である。
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