2002 Fiscal Year Annual Research Report
先天性障害をもつ児に続く次回妊娠・出産に関する質的研究
Project/Area Number |
14771433
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 恵子 慶應義塾大学, 看護医療学部・助手(有期) (30338206)
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Keywords | 女性 / 妊娠 / 喪失 / 自己決定 / 選択 |
Research Abstract |
平成14年度は、当該研究におけるデータ収集のためのフィールドの開拓とともに、先天性障害をもつ児の出産後に次子妊娠を考慮する女性と家族の背景の理解を目指した。方法として、文献の検討、医療専門職による療育・遺伝相談場面への参加、セルフヘルプグループ(神経-筋および骨結合組織疾患、染色体異常、代謝性疾患など全国20ヶ所の当事者会-以下SHGとする)の代表者を通じ活動内容と相談機能を探索、先天性障害児に続く出産を体験した女性へのプレ面接を実施した。以上より、次のような点が確認された。 先天性障害をもつ児を出産した女性と家族の多くはSHGへの参加経験をもち、当該児の保育・療育および健康状態に一定の見通しを持ち、余裕を得たことにより次子妊娠を考慮していた。 複数のSHGが障害児の保育・療育に関する内容のみならず、周産期に関連した事項についての相談機能を果たしており、相談は、障害をもつ女性自身が出産に臨む場合や出生前診断により疾患や異常が確定した場合、先天性障害をもつ児に続く妊娠を考慮している場合に行われていた。また約半数のグループの代表者が、次子妊娠以前からの継続的なサポートと医療専門職との連携の必要性を認識していた。さらにSHGは、当事者がi)胎児の出生前診断の結果として伝えられた疾患・障害の認識と生活に根ざした現実の疾患・障害とのズレを修正すること、ii)同一の疾患・障害に存在するレベル差を理解すること、iii)障害観を育てること、を助ける場として、医療機関における周産期ケアを補完する役割を担っていた。 今年度の活動および確認された点を、来年度のデータ収集・分析に繋げていく予定である。
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