2002 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者の主体的回復をめざした服薬心理教育グループの長期効果
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14771435
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
水野 恵理子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (40327979)
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Keywords | 心理教育 / 統合失調症 / 病識 / 病的体験 / 精神看護 / リハビリテーション / アドヒアランス / 治療への構え |
Research Abstract |
本研究の目的は、3ヶ年計画の全体を通じて、服薬心理教育グループに参加した統合失調症患者の退院後1〜2年間のフォローアップをする縦断的研究デザインにより、患者の主観的な病的体験の意味を探りつつ、心理教育の長期効果を検証することである。平成14年度の研究目的は、精神科急性期閉鎖病棟の入院患者を対象に服薬心理教育グループ(約3週間の期間で、1回40〜50分、計4回で終了)による介入を行い、服薬質問紙、病職尺度、BPRSを用いて、参加前・後・退院後に個別面接による評価を行い、面接内容およびグループ・プロセスの記述内容を質的に分析していくことであった。 平成14年10月〜平成15年2月までの期間に、4グループ実施した。参加総数26名のうち、本研究の同意を得られたのは19名、対象者の疾患は統合失調症9名、非定型精神病2名、気分障害4名、その他4名、初回入院は9名であった。また、19名のうちすでに退院した者11名、転棟2名、転院1名、残り5名は現在も入院継続中である。退院患者のうち当院外来通院者は9名で、このうち外来初回面接を実施した者は4名であった。 現在までの分析では、グループ参加前後で評価尺度スコアに改善傾向がみられ、病的体験のとらえ方や治療への構えについて、統合失調症とその他の疾患、初回と複数回入院、入院中と退院後とで何らかの違いがあるようである。また、退院後の患者にとっては、治療に関することよりも日常生活上の困りごとを解決することが優先され、現実的な問題をどう対処していくかが回復過程に影響を与えるものの一つと予想される。 平成15年度も、引き続き、退院患者のフォローアップ面接を行い、外来にて定期的に心理教育グループを実施し、その評価を行う予定である。
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