2002 Fiscal Year Annual Research Report
妻を亡くした中高年男性にとっての死別体験の意味に関する臨床民族誌研究
Project/Area Number |
14771439
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
荒木 美和 愛知医科大学, 看護学部, 講師 (90340348)
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Keywords | 死別体験 / 配偶者の死 / 中高年男性 |
Research Abstract |
死別体験の語りをきくときの視点と準備について検討した。 1.実際に個別のグリーフケアを行っている訪問看護師たちのグリーフケアの視点やグリーフケアを行う前に開いている死後ケースカンファレンスの役割について分析をした。 (1)病状の急変で死別した遺族への訪問看護師が行うグリーフケアは、9つにまとめることができた。訪問看護師は、急変時に呼ばれて訪問した死別期から、遺族の死の受け止め方やケアの後悔の念に特に注意を払ってケアをしている。また、遺族がその人の死を納得できるよう様々な配慮をしている。そして、個別のグリーフケアを支えるものとして、同僚のサポートを必要としていた。 (2)遺族へ個別のグリーフケアを行うための患者の死後に行うケースカンファレンスの役割は、訪問看護師に次の4つの準備をさせることだった。担当訪問看護師が傷ついているため、精神的な準備。それぞれの遺族の生活に流れている生きた言葉を用いる必要があるため、言葉の準備。担当訪問看護師のものの見方考え方の準備。チームでグリーフケアをする準備。 以上のことより、語りをきく視点として、故人が生きていた時の生活にまつわるエピソード、故人の死をどのように受け止めたのか、遺族のケアの後悔という点で検討が必要である。また、準備として、精神的な面も含めた研究サポートをとどのように組むのか検討が必要である。他、著書を含めて検討中。 2.死別体験は、死別の悲しみと向き合う体験である。このような体験を表現することは、語り手のもろさや弱さを表現するということなのか?という疑問について検討した。特に日本文化の中では、男性が悲しみの感情を表現することは、女性に比べて少ない。精神障害者グループホームべてるの家では、自分の弱さを語ることに重きを置いている。つまり、精神障害者をどのような存在とみているのか、その視点を強く打ち出している。こうしたことから、ここで検討が必要なことは、研究者が、死別体験をした人々をどのような存在としてみているのかということである。それによって、相手の語りは弱さにもなり、もろさにもなる。
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