2003 Fiscal Year Annual Research Report
情報技術を背景とした金型技術形成過程に関する日・中比較研究
Project/Area Number |
14780001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田口 直樹 金沢大学, 経済学部, 助教授 (60303252)
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Keywords | 金型 / 情報化 / 技能 / 技術移転 / 中国 / 製造業 / CAD / CAE |
Research Abstract |
本年度は、中国華南地域、とりわけ深セン(土へんに川)、東莞地域におけるローカル金型メーカーおよび同地域へ進出している日系金型メーカーの実態調査および現地進出の自動車をはじめとする金型ユーザーの金型調達動向を調査した。調査はCAD/CAM/CAEをはじめとする情報化と金型製造プロセスの革新と労働編成という視角から行った。この調査で得られた知見は以下の点である。中国の労働市場の特質、すなわちワーカーの1社への定着率の低さ(平均3年、長くて5年で他の企業へジョブホッピングする)から日本的な技能養成すなわち長期勤続を前提とした総合的な技能者の養成ができないことが全体的な特徴である。こうしたことから中国の金型メーカーは完全分業システムで金型製造プロセスを編成し、最低限の技能を習得させてそれに特化させることでジョブホッピングに伴うリスクを回避していることが明らかになった。日本の金型メーカーは設計から製造、仕上げまで一通りの工程をジョブローテーションにより体験させ多能工化させ、前後の工程を理解させたモノづくりをさせる方式をとっているが、こうした点が中国での型づくりと決定的に異なっている。日本の金型メーカとの差は情報化により相当程度埋まっているが、トータル技術を重視する日本と分業システムの中国での技術格差は最終的な精度・品質の差として依然として残っていることを明らかにした。 こうしたことから、自動車産業をはじめとする日系金型ユーザーの現地での金型調達の特徴は、コア部品に関しては依然として日本から輸入するかたちで対応している。また、ローカル金型メーカーから調達する場合も金型のメンテナンス等が必ず必要となるため、そうした対応に関しては日系の金型メーカーにメンテナンスを行わせるかたちで対応していることが明らかになった。
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