2002 Fiscal Year Annual Research Report
中学校・高等学校における体育の男女共習とジェンダーに関する研究
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14780002
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐野 信子 弘前大学, 教育学部, 講師 (70293107)
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Keywords | 体育 / 男女共習 / ジェンダー・フリー / ジェンダー・バイアス / 中学生の意識 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究は、本年度と来年度にわたり、我が国における学校体育のジェンダー・フリー実現に資する基礎的なデータの収集とその分析を目的としている。本年度は、以下の通りに研究を進めた。 1.本研究に関連する国内外の文献収集を行った。 2.青森県内の中学校で実践されている男女共習授業及び男女別習授業を観察した。 3.中学生、中学校保健体育科教諭及び中学校で教育実習を行った大学生を対象としたインタビュー調査を実施した。 本年度実施した授業観察やインタビュー調査からは、次の知見が得られた。 体育の男女共習及び別習に対して、生徒達はさまざまな意識を抱いていることが明らかとなった。学校体育の男女共習を支持する度合いには個人差が認められ、かつ、学習領域(運動種目)によっては各個人の中で男女共習を支持する度合いに変化がみられた。また、男女共習に対する生徒の種々の発言からは、体格、体力、運動能力等に関して多数のジェンダー・バイアスが認められた。さらに、男女共習授業であっても、生徒は性別ごとにグループを形成しやすく、かつ、教授者も性別で異なる達成基準を与えることがあるなど、いわば「男女共習の中の男女別習」という実態も見出せた。 以上から、男女共習授業の中でジェンダー・フリーを実現するには、性別に還元できないほど多様な、体育に対する個々の生徒の意識やニーズを受け止め、かつ、積極的に生徒の意識にあるジェンダー・バイアスを解消するよう働きかけることも必要であると考えた。
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Research Products
(1 results)