伸張-短縮サイクル運動理論を応用した筋力トレーニング機器の開発

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14780017
• Research Institution: National Institute of Fitness and Sports in Kanoya
• Principal Investigator: 図子 浩二 鹿屋体育大学, 体育学部, 助教授 (70284924)
• Keywords: 伸張-短縮サイクル運動 / エキセントリック収縮 / トレーニング / 筋力 / パワー

Research Abstract

重力環境下に生きる人間の移動運動やスポーツ運動は,硬く弾力の少ない地面に屈せず,もとの状態に跳ね返す運動であり,この運動中の筋・腱連合系は,エキセントリックとコンセントリックな筋収縮を繰り返す伸張-短縮サイクル運動(SSC運動)である。本研究では,このSSC運動理論を応用した筋力トレーニング機器を開発し,これまでに測定したり,トレーニングすることのできなかった受動的かつ強制的に筋・腱を引き伸ばすエキセントリックな筋力に焦点を絞ったものであった。この装置は,競技者のエキセントリックな筋力を計るために,5000N以上の力で,様々な速度で脚筋を伸張させることができるとともに,力をリアルタイムにフィードバックすることかでき,なおかつ十分な安全性を確保した仕組みを備えている。
この機器を用いたトレーニングを遂行するに当たって,用いる筋の伸張速度とエキセントリックな筋力との関係,従来までのアイソメトリックな筋力との関係を検討した。その結果,低速の伸張速度を用いることが,安全かつ精度良くエキセントリックな筋力を測定することができるとともに,トレーニングにおいても有益であることが認められた。一方,この測定方法を用いて,陸上競技の各種目の選手における筋力発揮の特徴を検討するとともに,性差,踏切脚と非踏切脚による違いについても検討した。その結果,これまでの筋力測定の方法を用いることに加えて,本研究で開発した装置を用いることによって,各選手の持つ筋力の特徴をより明確に分析することが出きることが認められた。そして,この装置を用いたトレーニングを遂行することによって,新しい筋力トレーニングの方法を確立することができる可能性が示唆された。
この最新のトレーニング理論および方法論については,今後さらに研究を継続することによって,確立することが期待できる。