2004 Fiscal Year Annual Research Report
健康づくりのための一提案-日本における犬の散歩の疫学的研究-
Project/Area Number |
14780035
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Research Institution | Yamano College of Aesthetics |
Principal Investigator |
早川 洋子 山野美容芸術短期大学, 美容保健学科, 助教授 (60289981)
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Keywords | 犬の主たる飼い主の健康状態 / 犬の健康状態 / 犬の散歩時間 / 犬の散歩回数 / 犬のBCS(獣医師判定の肥痩度) / 犬の病気の有無 / 犬の避妊・去勢 / 犬への愛着 |
Research Abstract |
先行研究ではコンパニオン・アニマルの存在とそれへの接触がさまざまな恩恵を与えるという報告がされている。コンパニオン・アニマル(犬)を飼ことにより、心理面に働きかけ、犬の世話(散歩、食事の世話、コーミングなど)を含めたADLが活発になり、結果的にQOLを高めることにつながるのではないか?(心理・生理・社会に良好状態の循環ができる)という仮説のもとに調査研究を行った。 本研究では現状を把握するために、動物病院の受診者で犬の飼育者と犬の健康状態、生活習慣などの調査をした。分析対象は、犬の主たる飼育者(食事や散歩など、主に面倒をみる人)でかつ1歳以上の犬に絞った(51例)。統計処理はspearman(ノンパラメトリー)相関係数を求めた(両側検定、有意水準P<0.05)。犬の主たる飼育者と犬の健康状態は(0.441)相関を示した。犬の主たる飼育者の健康状態は、犬の散歩時間(週平均)(0.329)と散歩の回数(0.304)は相関を示した。犬への愛着は、飼育年数(0.305)と犬の健康状態(0.116)に相関していた。犬の健康状態は、食事(0.092)と相関していた。また犬の病気の有無は、避妊去勢(0.344)や犬のvBCS(獣医師判定の犬の肥痩度)(0.395)とも相関を示した。加えて、犬のサイズ(大・中・小型犬別)と犬の年齢を共変量にし、健康状態と週の散歩時間の共分散分析をした。健康状態が「非常に良い」「良い」と回答した犬の主たる飼育者(49名)は1日約40分犬の散歩(この値はCDCのガイドラインにマッチする)をしていたが、統計的には有意ではなかった。この原因として考えられることは健康状態が「非常に悪い」「悪い」の回答者が少ないことが考えられる(2名)。動物病院の受診者のデータでは犬を飼うことにより、犬の主たる飼育者と犬、双方の健康状態に恩恵があることが示唆された。次のステップとして因果関係については、さらに例数を増やし、その詳細について検討したい。最終的には犬の散歩に関するガイドラインなどを整備し、人と犬の健康づくりを共に考えたい。
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