2002 Fiscal Year Annual Research Report
長期にわたる運動トレーニングが循環器系疾患者の血液流動性に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
14780040
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中垣内 真樹 長崎大学, 大学教育機能開発センター, 講師 (10312836)
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Keywords | 血液流動性 / 有酸素性運動能力 / 持久性運動トレーニング / 循環器系疾患 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
血液流動性は心臓血管障害のリスクファクターになりうることが、血液粘度及び血漿粘度と疾病との関係から明らかである。持久性運動トレーニングによって血液流動性が改善され、心臓血管系への負担が軽減されれば、生活習慣病予防の観点からも持久性運動トレーニングの意義が認められよう。現在のところ、毛細血管モデルに血液を流し、その通過時間を測定する方法による血液流動性について、中高年者を対象として運動を絡めた報告は少ない。 本研究では、第一段階として、平成14年度の研究の目的を以下に定めた。運動習慣を有する中高年男性を対象に有酸素性運動能力と血液流動性との関係から、中高年者でも持久性運動トレーニングによって血液流動性が改善されうるのかを検討することとした。 毛細血管モデルに血液を流し、その通過時間を測定した結果と運動負荷テストでの有酸素性運動能力での結果および血液検査項目の結果の関係から、有酸素性運動能力の高い者ほど血液流動性が良好であることが示唆された。また、持久性運動トレーニングの量を反映すると考えられるHDLCと血液流動性との間にも有意な相関関係が見られた。これまで血液通過時間による血液流動性と中高年者の有酸素性運動能力との関係を検討した報告は皆無であったが、以上の結果から、持久性運動トレーニングのレベルが高ければ高いほど血液流動性が良好であることが確認できた。持久性運動トレーニングによる血漿量の増加がヘマトクリット値や赤血球数を低下させるとの報告があるが(EL-Sayed,1998)、持久性運動トレーニングによって血液粘度が低下し、血液流動性が高まって活動筋への血液量すなわち酵素輸送量が増加して有酸素性運動能力の向上に関与することが推察できよう。 また、血液流動性が改善されれば、心臓血管系への負担が軽減することも予想できる。平成15年度では、対象者を循環器系疾患者にしぼり運動トレーニングと血液流動性との関係を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)