2003 Fiscal Year Annual Research Report
公共投資政策・制度変化が地域経済・社会に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
14780050
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
梶田 真 大分大学, 経済学部・地域システム学科, 助教授 (40336251)
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Keywords | 地域経済 / 公共投資 / 土木業 / 地方財政 / 地方圏 / 過疎地域 |
Research Abstract |
平成15年度は前年度に引き続いて島根県における土木業者の経営データ(財務諸表等)の体系的な収集、解析を進めた。島根県の場合、平成14年度の経営データでは近年の公共投資改革および事業費削減の影響ははっきりとしたものではなかったが、平成15年度のデータで影響が明瞭に現れるようになり、完成工事高の減少と利益率の低下が認められるようになった。ただし、倒産・廃業・合併といった形での再編成は起きておらず、聞き取り調査の結果より、他業者の倒産・撤退を期待した「我慢比べ」が続いている。 また、岐阜県の一山村の土木業者の動態に関するインテンシヴな現地調査も前年度より継続して実施した。前年度の調査以後、公共事業の削減はますます厳しいものとなり、ある業者では60歳代以上の従業員には引退してもらい、50歳代の従業員も嘱託に近い形での雇用に切り替えている。その結果、村内土木業者の正規職員の数は急減している。加えて、それまでみられなかった村外業者の進出が従来までの村内業者による受注調整を困難にし、経営環境の悪化にさらなる拍車をかけている。同村では本年度より合併し新市に移行するごとが決まっており、これによって入札指名のあり方も大きく変わることが予想されている。 さらに、本年度は石川県・富山県を事例として、土木業者の新分野進出についての資料収集と現地調査を行った。その結果、国や業界団体の取り組みにもかかわらず、それまで比較的「ぬるま湯」状態にあった土木業者の新分野進出の動きは鈍く、一部のやる気のある経営者達の先駆的な取り組みに限られていることが明らかになった。 平成16年度は研究最終年であるが、土木業を取り巻く状況は上記したように極めて流動的な状態にあり、現在までの動きとあわせて今後予想される動きおよび研究課題も示していきたい。
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Research Products
(1 results)