2004 Fiscal Year Annual Research Report
在日韓国人の企業活動と企業ネットワークの地理学的研究
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14780053
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
朴 ちょん玄 大東文化大学, 国際関係学部, 助教授 (10317654)
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Keywords | 在日朝鮮・韓国人 / 展望 / 経済地理学 / 都市地理学 / 社会地理学 / 時間地理学 |
Research Abstract |
今年度の研究課題は、従来の在日韓国・朝鮮人に関する研究成果を展望することにより、今後の研究課題を絞ることである。韓国・朝鮮人に関する研究は、主に社会学・法学・経済学・歴史学・教育学などの分野で「史的研究」として扱われており、地理学の分野では、1980年代からエスニシティ、エスニックネットワークの観点からいくつかの研究が確認されるだけで、積極的な議論がなされてきたとはいえない。 近接分野において在日韓国・朝鮮人の歴史を取り扱った研究は、1910年代から始められているが、本格的な研究は、1990年代以降、論文や単行本の発表がもっとも積極的に研究が進展されてきたが、問題意識や分析対象をもとに先行研究は、経済的側面、政治的側面、社会的側面、といった3つのカテゴリーに分類することができる。 まず(1)経済的側面の研究では、在日韓国・朝鮮人の(1)渡航要因と実態、(2)就労過程・状況・要因、(3)人口や史料整理の研究が、次に(2)政治的側面の研究では、(4)強制連行・戦後補償などの政治的問題、(5)差別・社会保障・社会福祉などの法的地位・制度問題などの研究が、そして最後に(3)社会的側面の研究では、(6)労働・民族運動、在日韓国人社会のアイデンティティ・意識・都市エスニック・エスニックネットワーク、在日韓国人教育などの研究が、それぞれ蓄積されてきた。 以上の研究成果を整理することで、今後の研究課題として、(1)社会地理学におけるニューカマーとオールドカマーの行動、(2)経済地理学における在日韓国・朝鮮人の経済活動、(3)人口地理学における人口移動、(4)都市地理学における都市内部構造論と都市システム論、(5)時間地理学における在日韓国・朝鮮人の生活史研究など、地理学からの積極的なアプローチが必要であることが明らかになった。
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