2002 Fiscal Year Annual Research Report
マサバ糠漬け「へしこ」の低塩化による栄養成分の変化
Project/Area Number |
14780069
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村上 亜由美 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (50321146)
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Keywords | 糠漬け / へしこ / 低塩化 / 栄養成分 |
Research Abstract |
マサバ糠漬は「へしこ」は、近海で豊富にとれるマサバを塩漬け工程を経て、糠漬けにして発酵させることにより保存性を高めた、福井県若狭地方の郷土食である。約12ヶ月間と長い製造期間を短縮すること及び塩分含量の高い製品を低塩化することを目的に、糠と調味料の混合物をあらかじめ一定条件で発酵させた発酵調味糠を作成し、その発酵物をマサバと合わせ、さらに発酵させてへしこを製造する方法を検討した。 発酵調味糠の作成は、糠と調味料の混合物に、添加物として乳酸濃度(1%)を一定とし、食塩濃度(3%又は6%)及び発酵温度(25℃又は30℃)の条件下で発酵させ、一般生菌数、真菌数、大腸菌数、乳酸菌数、乳酸量、pH、ペプチド量、糖度、脂質量、ゼタミンE量の測定を経時的に行い、好ましい発酵がみられる条件を検討した。また、従来法でへしこを製造した時にできた糠(へしこ糠と呼ぶ)を発酵種として添加して発酵させ、その有効性を検討した。 その結果、どの試料においても大腸菌は見られず、本条件下での安全性が確認できた。そして、どの試料においても2ヶ月間発酵させることにより、生菌数、pHの低下とペプチド量、脂質量の増加がみられたが、特に、塩分濃度6%、発酵温度25℃の条件下において、発酵中のカゼの発生を防ぐことができ、香りの良い好ましい発酵がみられた。また、調味発酵糠の製造には、へしこ糠の添加は有効でないことがわかった。 現在、これら条件下で作成した調味発酵糠を用いて、マサバの切り身を試料としたへしこの製造を継続中である。
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