2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14780074
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
寺本 あい 岡山県立大学, 保健福祉学部・栄養学科, 助手 (50275369)
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Keywords | 凍結乾燥 / 高圧力 / 圧力移動凍結法 / 氷結晶 / 豆腐 / ゲル状食品 / 復元性 / 食感 |
Research Abstract |
これまでの圧力移動凍結の効果が明らかで、かつ氷結晶の観察に最適であるのは豆腐と思われた。また、豆腐は凍結乾燥後の復元性を確認する上でも、実用性の面からも適していると考えられる。よって、基礎的な情報を得るため、圧力移動凍結法で冷凍した豆腐を凍結乾燥したときの製品の品質を検討した。 充填豆腐(10mm角、30×30×15mm角)を真空包装し、食品高圧処理装置(神戸製鋼所製、Dr. Chef)を用いて、200MPaの圧力下で-20℃まで冷却後、大気圧下まで圧力解除することにより圧力移動凍結した。対照として、冷凍庫内(-20、-30、-80℃)の大気圧下で空冷による冷凍もおこなった。このように凍結させた試料を、凍結乾燥機(東京理化器械製FDU-830、現有設備)を用い、約24時間かけて乾燥物とした。 乾燥品の外観を比較すると、大気圧下で冷凍したものはやや黄色くなり氷結晶痕跡が確認できる状態であるのに比べ、圧力移動凍結したものは未処理の時の乳白色を保っており氷結晶痕跡はみられないが、表面に細かいひびがみられ非常に固い状態であった。 ぬるま湯で戻した後の外観を比較すると、大気圧下で冷凍したものはスポンジ状の食感となった。一方、圧力移動凍結したものは、ぬるま湯に浸漬すると溶けてしまい固体状を保つことができず、豆乳様の白濁液となった。戻す水の温度、戻し時間の条件を変えても、水に浸漬後速やかに溶解してしまい、復元性のないことが明らかとなった。すなわち、豆腐の凍結乾燥品においては、氷結晶サイズが微細すぎては復元しない。圧力だけでなく温度なども考慮に入れ、均一かつ適度なサイズの氷結晶を作る条件を検討する必要がある。また、この現象が豆腐特有であるか、多糖ゲルなど他のゲル状食品も同様であるのか、野菜、肉・魚類では高圧力を用いた凍結乾燥が有効であるか、慎重に検討しなければならない。
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