2002 Fiscal Year Annual Research Report
フェニルプロパノイド類の調理加工における変化と生体内変化
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14780084
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
太田 千穂 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (80271435)
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Keywords | フェニルプロパノイド類 / クロロゲン酸 / カフェ酸 / フェノバルビタール / 3-メチルコラントレン / 代謝 / ラット / モルモット |
Research Abstract |
植物性機能成分の1つであるフェニルプロパノイド類関連物質クロロゲン酸のin vitro代謝を行い、特に加水分解反応で生成されるカフェ酸量をラットおよびモルモットの小腸9,000xg上清もしくは肝Msを用いて検討した。なお、薬物(フェノバルビタール、3-メチルコラントレン)の影響についても併せて検討した。その結果、HPLC分析により両動物のいずれの組織を用いた場合にも5種類の代謝物(M1からM5)が生成され、その生成比はラット肝ではM1:M2:M3:M4:M5=3.6:1.1:1:0.8:0.5、モルモット肝ではM1:M2:M3:M4:M5=0.8:5.4:1:1.2:0.2であった。このうちM3は、カフェ酸との保持時間が一致した。未処理ラットおよびモルモットではいずれの組織においてもカフェ酸生成活性の強さは同程度であったが、フェノバルビタール前処理の結果、ラット肝Msで未処理の6.1倍に、一方、3-メチルコラントレン前処理により、モルモット肝で3.1倍、モルモット小腸で1.7倍に有意に増加していた。以上の結果から、モルモットの小腸と肝では3-メチルコラントレン誘導性の、一方ラット肝ではフェノバルビタール誘導性の加水分解酵素が重要であることが示唆された。 次に、クロロゲン酸の安定性につき、加熱時のpHの影響を調べた。なお、pHは6.6から8.0まで変えて行った。その結果、5種類の加熱生成物(P1からP5)が生成されたが、これらはin vitro代謝における代謝物(M1からM5)とのHPLCによる保持時間が全て一致していた。また、P3はカフェ酸の保持時間と一致していた。一方、クロロゲン酸は加熱条件下、酸性からアルカリ性になるにつれて減少し、pH8.0では約51%と激減した。それに対してP1およびP5は増加した。しかしながら、加水分解により生成されるカフェ酸(P3)は全く増加しなかった。以上の結果より、動物組織による変化と加熱による変化が異なる機構で起こることが示唆された。
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