2002 Fiscal Year Annual Research Report
韓国人日本語学習者のヴォイス(受身・接受表現)の習得に関する母語との対照研究
Project/Area Number |
14780156
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
許 明子 筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (10322611)
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Keywords | 日本語のヴォイス / 韓国語の受身文と自動詞文 / 「漢語+doeda」受身文 / 話しことば / 受身文の主語と動作主 |
Research Abstract |
韓国人日本語学習者は日本語のヴォイス体系を学習する際に様々な困難を感じており、習得しにくい項目の一つである。その原因として考えられることは、韓国語の母語の影響や日本語の受身文の構文的な特徴の学習の不十分さなどがある。そこで、本研究では日本語と韓国語の受身文と自動詞・他動詞文を中心に、両国の日常生活で使われている実例の分析を通して、両言語の対照分析を行うことが目的である。平成14年度は韓国語の受身文の分析を行うために、韓国で放送された4編のテレビドラマの中に使われた受身文を抜粋し、述語動詞の種類や、受身文の形態別分類を行った。その結果、韓国語では多様な受身文の形態の中で、「i/hi/ri/gi」を中心とする接辞による受身文が最も頻繁に使われており、受身文と自動詞文が同じ形態であったり、類似した構文的な特徴を持っていることが明らかになった。さらに、受身文の述語動詞の中には「漢語動詞+doeda(する)」のような形態が非常に多く使われ、日本語の漢語動詞の受身文の使用に影響を及ぼしていることが分かった。さらに、韓国人日本語学習者の作文から誤用を収集して、どのような誤用が生じているのかに関する分析を行った。その結果、主語と動作主の認識、受身文の意味的特徴を把握することが困難であることが明確になった。 以上のように、韓国人日本語学習者が日本語の受身文を学習する際に、韓国語の受身文の形態の複雑さ、自動詞構文との類似性、被害性を含む受身文の意味的特徴の理解の困難さ等に問題点を感じていることが分かった。
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