2002 Fiscal Year Annual Research Report
逆回帰問題における高精度な推定量の開発に関する研究
Project/Area Number |
14780166
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 淳 早稲田大学, 政治経済学部, 助教授 (80298174)
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Keywords | 線形校正 / 逆回帰 |
Research Abstract |
本年度の研究計画に従い,まずシミュレーションを多数回反復して行ない,興味の対象である逆回帰問題における諸推定量の性質を,段階を踏み詳細に調査していった.具体的には,いわゆる古典的推定量(Krutchkoff・一般化)逆回帰推定量等の,従来からよく知られてはいるが,その精度に問題があり,改良が望まれている推定量と,申請者が提案しようとする推定量族との比較(小標本的見地および大標本的見地からの比較)を行なっていった.各推定量の挙動を比較するための条件としては,代表的なものとして以下に挙げるもの(1〜6)の組み合わせを考えて採用した./1.ランクを変えた様々な計画行列を想定する.2.回帰ベクトルのノルムがゼロに近い場合から大きい場合まで段階的に変化させていく.3.誤差分布が異なる,もしくは,誤差分散が異なるという意味で「異質な」サンプル群を結合させることを想定する.4.サンプルサイズの組を段階的に変化させていく.5.サンプルが従う確率分布を(多変量)正規分布に限定せず,楕円分布等のより一般的な確率分布族を採用する.6.サンプル聞の誤差分散の比を段階的に変えていく./上記の条件の下で行なった大量のシミュレーション結果に統計的解析を加え,検討を重ね続けたところ,多くの場合従来知られている諸推定量よりも申請者が提案しようとする推定量族の方がある基準の下で優れていることが分かった.また,推定量の精度に関して数学的に定式化可能な結果への示唆が得られた.そこで,シミュレーション結果から得られたこれらの成果を理論面から厳密に裏付けすべく,数学的に詳細な議論に着手し,現在検討を重ねているところである.
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