2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780177
|
Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
川崎 能典 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助手 (70249910)
|
Keywords | 次元縮約型多変量ARモデル / 共和分モデル / 非定常時系列 / 並列計算 / 予測 / 関数データ解析 / 正則化 |
Research Abstract |
(1)次元縮約型多変量自己回帰モデル(reduced rank AR model)の開発と応用を、市場リスク中立型株式売買法に即して行った。多変量時系列の個々の要素は平均非定常で予測が難しい場合でも、それらの線形結合は定常になる場合があり、統計モデルによる予測が有効となる余地がある。株価に対する時系列モデルという観点から換言すれば、非定常時系列の線形結合から生じる定常過程は、銘柄Aと銘柄Bをそれぞれ売り建て・買い建てで保有した時のスプレッドと見なせる。このスプレッド系列に対して予測モデルを構築することで、割高割安の指標を得て、ほぼリスク中立的なトレードを行うことが可能となる。このような銘柄ペアの抽出は組み合わせが膨大であるため、並列計算機上で多数の次元縮約型自己回帰モデルを計算するプログラムを開発した。開発した手法を使い、過去5年の東証1部上場銘柄に対し運用シミュレーションを行い、この手法のリスク・リターン特性を統計的に明らかにした。(2)利付債券の取引データから金利期間構造を推定する問題に対し、関数データ解析的な接近法を試みることで、動的なイールドカーブの推定モデルの構築を試みた。ある一日の利付債データに対し期間構造を推定するのは、通常のノンパラメトリック回帰の問題と言えるが、この方法では期間構造の時間変化に対して何ら含意を与えない。そこで、債券データを経時的に取得し、それらに高次元の平滑化を適用することで割引関数の局面推定(すなわちデータの関数化)を行い、その積分型で金利期間構造を経時方向に連関させる方法を考察した。この方法は、直接的に離散時間多変量時系列モデルを構築するよりは、計算量の観点から有利である。本課題は引き続き次年度でも研究を進める。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Kawasaki, Y., Tachiki, S., Udaka, H., Hirano, T.: "A characterization of long-short trading strategies based on cointegration"Proceedings of IEEE International Conference on Computational Intelligence for Financial Engineering. 411-416 (2003)
-
[Publications] Konishi, Y., Nishiyama, Y., Ando, T., Kawasaki, Y.: "Nonparametric Statistical Inference in Production Function"Science of Modeling : The 30th Anniversary of the Information Criterion, ISM Report on Research and Education. No.13. 384-385 (2003)
-
[Publications] Kawasaki, Y., Ando, T.: "On Penalized Likelihood Estimation of Yield Curves"Science of Modeling : The 30th Anniversary of the Information Criterion, ISM Report on Research and Education. No.13. 382-383 (2003)
-
[Publications] 川崎 能典(編): "経済成長率に対する教育投資効果の統計解析(統計数理研究所共同研究リポートNo.165)"統計数理研究所. 78 (2003)