Research Abstract |
本年度は,まず,リフティングダイアディックウェーブレットの学習理論を考案し,顔画像による個人認証システムの構築を行った。本システムは,顔画像の学習,検出,認証の3つの部分から構成される。まず,顔画像の学習では,訓練画像中の目,鼻,口といった特徴点において,正規化された高周波成分が1になるように,すなわち,リフティングフィルタからなるベクトルと訓練画像の低周波成分からなるベクトルとの余弦が0となるように,リフティングフィルタ中の自由パラメータを決めた。次に,顔画像の検出では,学習された自由パラメータを用いて入力画像の高周波成分を計算し,訓練画像の特徴点に最も類似する点を検出した。さらに,顔画像の認証においては,入力動画像に対して,顔画像の検出を繰り返し,最も検出される顔画像から個人の特定を行った。最後に,本認証システムを四足歩行ロボットAIBO上に実装し,本システムが,ガボールウェーブレットを用いる従来の手法に比べて,高速に顔画像を検出できることを実証した。 また,リフティングウェーブレットフィルタによる動画像中の特徴点のオンライン学習法と追跡法を考案した。提案する学習法は,特徴点における水平方向と垂直方向の高周波成分が等しくなるよう自由パラメータを決めることにより行われる。動画像を入力とする実験では,刻々と変化する物体を追跡する際に,提案手法が有効であることを示した。 さらに,画像のノイズ除去に適したリフティングダイアディックウェーブレットを設計する方法を提案し,優良な結果を得ている。本手法は,ダイアディックウェーブレットフィルタの自由パラメータをモーメント条件から決めている。 本年度行った一連の研究は,自律移動ロボット上に類似画像検索システムを実装する際に,必要不可欠な機能である。
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